4月
第1話『始まりの朝』
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いけど、逆に言えばこの地域の人には何かと噂が伝わってくる。不思議な学校、だとか、怪談が多い、とか。…でも、見た感じは思ったより普通だな。
「でも小学校とは大違いだ」
今度は大地が言った。確かに、 校舎の大きさとか、規模は小学校とはかなりの差がある。ここが新しい学び舎となるのだ。やっぱりワクワクしてきたかも。
「おはようございます」
「「「!?」」」
不意に後ろから挨拶が聞こえてきた。それに驚いた俺たちは、反射的に後ろを振り向く。
そこには、にこやかな笑顔を浮かべるおじさんが立っていた。
「ああ、驚かせてすまない」
「いや、すいません。俺らも驚きすぎました」
謝られたので、俺が代表して謝り返す。
その際、男の人の顔をよく見てみると、とても優しそうな顔つきをしていた。
「あの、あなたは…?」
「私はここの先生だ。山本という」
山本の自己紹介に、会釈で返す。なるほど、先生だったのか。ならここに居ても何ら不思議ではない。
「それより君たちどうしたの?」
「えっ?」
山本が意味深なことを訊いてきたので、俺たちは疑問符を浮かべる。何か間違ったことでもしたかな?
入学式の日が違うのか、とも思ったが日付は今日で間違いないはずだ。
「君たち、1時間以上来るのが早いよ?」
「「「えっ!!?」」」
俺たち3人は揃って驚いた。
時間が違う!? 遅れるよりは早い方が良いけど、それでもなぜだ? しかも3人共なんて・・・
「大方、通常の登校時間に合わせて来たんだろう?」
「はい…」
その通りだ。まさか通常と入学式の集合時間が違うのか。道理で周りに人1人いない訳だ。しっかりと配布されたプリントを見ておくべきだった。
「どうするよ?」
「一度帰って出直すか? 往復30分位だから大丈夫だろ」
「あと1時間もあるしね。」
「あぁその必要はないよ」
「「「えっ?」」」
俺たちが帰ろうかという案を出している途中、山本がそれを止めてきた。その言葉に俺らは疑問を持つ。
「せっかく早く来たんだから、学校中を巡ってみるのはどうだい? 私が案内するよ」
山本がそう提案してきた。なるほど、それは良い案だ。
この理由には俺ら3人共納得した。なんかラッキーだな。
「「「ありがとうございます!」」」
「気にしないでいいよ。これくらいは当然だとも」
これは好都合。周りの人たちより早く学校に入れるなんて、なんか特別な気分だ。
俺は期待の目で山本を見た。
「改めて、よろしくお願いします!」
「「よろしくお願いします!!」」
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