4月
第1話『始まりの朝』
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!?」
俺が急に大声をあげて尻餅をついたのに驚いて、後ろから莉奈と大地が駆け寄ってくる。
「いや、この人とぶつかりそうになって…」
俺はそう説明する。今のはたぶん俺が悪いな。
「すみません、怪我は無かったですか?!」
ぶつかりそうになった少女が焦るように声を掛けてくる。
俺は「大丈夫」と答えようとしたがその時、初めてよく少女を見て、息を呑んだ。
「可愛い…」
今のは後ろの大地の呟きだ。そして、まさに今俺が思ったことと同じである。
茶色の艶やかな長い髪に、つぶらな瞳。可憐という概念を具現化したような美少女が目の前にはいた。
「…? あの…?」
「あ、あぁ大丈夫です! お気になさらず!」
俺は思わず見とれていたことに気づき、慌てて返事をする。
それにしても、こんな可愛い子が現実に存在するとは思わなかった。マンガのヒロインとして申し分ないくらいのルックスである。
「全く、気をつけなよ晴登」
「元はと言えば、お前が変な賭けを始めるからだ!」
「はて、何のことやら」
しらばっくれる莉奈にイラッとするが、人前なのでそれは堪える。後で覚えておけよ。
「えっと、それじゃ私行きますね」
「あ、はい」
そうこうしていると、美少女はそう言って足早に去っていった。
曲がり角で美少女と出会うという黄金パターンだとはいえ、いざ実際に遭遇すると案外呆気ないものであった。
俺は肩を落とすこともなく、すぐに立ち上がる。
「あの子も同じ学校なのかな?」
「制服は一緒に見えたけど、進行方向は逆だったね」
「俺はもう一度会いたいなぁ!」
俺、莉奈、大地と口々に今しがたの美少女について語る。あまり誰かが可愛いだとかは言わない俺だが、さすがに今の美少女は可愛いと認めざるを得ない。
「まぁ、また会えた時はラッキーってことで」
俺はそう結論づけると、また2人と先へ進んだ。
なんだかんだで、あと横断歩道を渡れば、学校に着く距離となっていた。
「なんか長い道のりだった…」
「1km位でへばんなよ」
「そうよ。だらしないね」
愚痴を吐く俺に、大地と莉奈が当然のように言ってきた。
いや、この散々な道中で疲れるのは仕方ないと思うんだが? ほとんどこいつらのせいだ。
もう入学式サボって、家に帰りたい…。
「お、着いたな」
あれこれ俺が考えてる内に、もう校門の前まで着いてしまった。
もう行くっきゃないよな…。
「意外と普通ね」
莉奈が言った。
この学校のことはこの地域以外の人は全然知らな
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