4月
第1話『始まりの朝』
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「は!? 大地は男だから、ノーカンだろ!」
またも不意に、莉奈が賭けの話を掘り返す。でも、莉奈が言った通りのシチュエーションにはなってないから数えられないはずだ。
「なになに、何の話?」
大地が話に割り込んでくる。頼むから話をややこしくするのだけはやめてくれよ。
「私は別に女子だけとは言ってないよ。同性愛だって今時あるんだから」
「アホか!!」
莉奈が言ってることは、もはや屁理屈である。
まだ12歳なんだぞ、俺らは。異性をすっ飛ばして同性愛だなんて…話が飛躍しすぎだよ。
「ったく晴登、そういうのは勘弁してくれ」フッ
「お前もノらなくていい!」
「冗談だよ」
全く、思ったそばから話をややこしくしやがって。話の呑み込みが早いのも考えものだな。
「晴登〜、何でもいいから早く買ってきて〜」
莉奈が子供のように駄々をこねる。いや、実際まだ子供だけども。
「はいはい、わかったよ」
俺は結局根負けして、買いに行くことにした。これ以上争ってもめんどくさい。
でも、決して同性愛を認めた訳ではないぞ。
「プハーッ、旨いわー!」
「お茶一杯で大袈裟だろ」
まだ入学式までは時間があるが、さすがにほっこりし過ぎだろ。
「なな晴登、俺にも何か奢ってよ?」
「え、やだよ」
本気なのか、からかってなのか、大地がそう言ってきた。
もちろん答えはNOだけど。
「いーじゃんケチ」
「これはケチなのか?」
最終的にケチ扱いされてしまう。俺は何も悪くないんだけどな…。
「ねぇ晴登。また曲がり角あるけど」
俺たちが歩みを再開させると、莉奈がそう言った。この辺はまだ住宅街で、同じような地形が続いてるから当たり前だな。
「もう賭けはしないでおくよ」
「えーつまんなーい」
莉奈の魂胆を読み、俺はそう言った。俺だって学習する。
頬を膨らませて不平をこちらに訴えかけてくる莉奈。でも次も誰か友達とぶつかるかもしれないし、それでまた奢るなんてたまったもんじゃない。
・・・でも賭けが無くともぶつかるのは嫌なので、俺は曲がり角の先を事前に見ることにした。
二人より小走りで先に行き、曲がり角から顔を出して覗くと・・・
「きゃっ!?」
「えっ!? うわ、ごめんなさい!」
なんとまた人が居たのだ。しかも女子で同い年ぐらいの。知り合いではない。
ギリギリ寸止めくらいで向かい合う状態となったが、俺が驚いて急いで後ろに下がったために尻餅をついてしまう。
「どうしたの
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