4月
第1話『始まりの朝』
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ると次の瞬間・・・
「お兄ちゃん!!!」
「はいっ!・・・ってあれ?」
急に智乃の声が大きくなったことにびっくりした俺は飛び起き、周りを確認した。
するとすぐ隣に、心配そうにこちらを見る智乃の姿があった。
…ん?『飛び起きた』? そう、俺の体はベッドに横たわっていたのだ。
――――――――――――――――――――
「もうホントにびっくりしたよ、お兄ちゃん」
「わ、悪かったって」
朝食を食べ終えた二人は会話をしていた。俺は中学校へ行く準備をしている。
「仕方ないだろ、変な夢見てたんだから」
「どんな夢?」
「お前がたくさん出てくる夢だよ」
夢の内容について聞かれた俺は正直に答えた。
すると、智乃は頬を膨らませる。
「それのどこが悪夢なのよ!」
「いや、普通に怖かったんだって!」
だが智乃の言い分はごもっともだ。怖かったとはいえ、悪夢は言いすぎたかもしれない。怖かったけど。
「もう。今日中学の入学式でしょ? その夢見た後に事故でも遭ったら怒るからね」
「はは、そりゃ縁起が悪いな」
「そうよ!」
変なことを気にするな、こいつは。もっと普通の心配をしてくれればいいのに。過保護というか何というか。俺の方が兄なのに。
そうこうしている内に時間は過ぎ・・・
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴った。インターホンで相手を確認した智乃は俺を呼ぶ。
「お兄ちゃーん、莉奈ちゃん来たよ!」
莉奈、とは俺の幼馴染みのことだ。彼女は俺の家の隣に住んでいて、小学生の頃はこうして一緒に登下校していたものだ。中学生になっても、それは踏襲されそうである。
おっと、それよりもうそんな時間か。
「おはよう」
「おはよー」
玄関の扉を開け挨拶した俺に、彼女は気の抜けた挨拶を返してきた。
彼女とは保育園からの付き合いである。昔からよく遊んでいたし、今でもそれは変わらない。元気な性格で、一緒に居て飽きない良き友達だ。
「すまん、ちょっと待ってくれないか? まだ準備が終わってないんだ」
「じゃあここで待ってるねー」
「悪いな」
俺は部屋に戻り、急いで準備を進めた。
「おまたせ」
「じゃあ智乃ちゃん、行ってくるね」
俺が準備を終えたらすぐ出発だ。少し大きめの慣れない制服を着て、新品の靴を履いていると、莉奈は智乃に手を振りながら言った。
「行ってらっしゃーい!」
智乃も莉奈に負けないくらい大きく
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ