第二十二話 最初の卒業式その三
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「また会えるわ、皆とね」
「皆とですか」
「だからちっち」
もう顔は完全にあげられています。いつもの奇麗な笑顔で。
「また会いましょうね」
「はいっ」
私も笑顔になってそれで応えました。寂しさが消えました。
「また。おぢばで」
「行きましょう」
立ち上がられて私に声をかけてくれました。
「学校にね」
「そうですね、学校に」
「ちっちも二年になるのね」
立ち上がった私に声をかけてくれました。
「これから」
「そうですね。なれるなんて夢みたいです」
「夢じゃないわ。それで何時かは」
「何時かは?」
「三年になるわ」
当然のことですけれどそれでも実感できません。遠い未来みたいのことですから。
「その時ひょっとしたら私とちっちみたいな出会いがあるわよ」
「長池先輩みたいにですね」
「女の子とも限らないし」
「女の子じゃないんですか?」
「だってそうじゃない」
仰る先輩のお顔が凄く奇麗な笑顔になっているのがまた、でした。
「お引き寄せは親神様の思し召しよ」
「それはわかっているつもりですけれど」
「だから。女の子だけをお引き寄せするんじゃないのよ」
これは考えていませんでした。私は今までずっと男の子と会うなんてことは考えていませんでしたから。けれど今の先輩の御言葉は。
「男の子だってね」
「私はそれは」
「嫌なの?」
「嫌っていいますか」
ちょっと言葉が出ません。何と言葉を返していいのかわからないのです。私はまだ十六歳ですしそれに男の子とそうしたお付き合いをしたことはないですから。
「それはかなり」
「抵抗あるのね」
「考えられないんですよ」
このことだけは言うことができました。
「男の子と出会うなんて」
「そうなの」
「はい。けれど有り得るんですよね」
このことを念押しするようにして先輩に尋ねました。
「それもやっぱり」
「だからあるのよ。世の中の人の半分は男の人じゃない」
「はあ」
言われるとその通りですけれどそれでも。私の家は女系の家系で男の人はお父さんだけでしかも信者さんも女の人がかなり多いですし。ですからそれは。
「だから当然あるのよ」
「ありますか」
「そうよ。何度も言うけれど」
先輩の御言葉が続きます。
「それは有り得るから」
「そうなんですか」
「後輩の男の子もいいんじゃないかしら」
くすりとした微笑みになられました。
「ちっちには」
「そうですか?」
先輩にまで言われるとは思いませんでした。けれどこう言われても不愉快に感じないのが先輩の凄いところです。嫌味さがないんです。
「私は。男の人は」
「年上の人がいいのね」
「どちらかというと」
やっぱり背が高くて引き締まった顔と体格で。特撮ヒーローみたいな人
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