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戦国異伝
第二百四十三話 信長の読みその十

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「捨て置くのですな」
「そうしますな」
「あくまで織田信長を討つ」
「そうしますな」
「そうじゃ」
 まさにそうだという返事だった。
「枝なぞ捨て置くのじゃ」
「幹を一気にですな」
「倒しますか」
「では枝はどうとでもなる」
「そういうことですな」
「その通りじゃ。枝なぞ捨てて置け」
 やはりこう言うのだった。
「ここで織田信長を滅ぼすぞ」
「ではこれより」
「あの者の率いる軍を襲いますか」
「大坂に戻る彼等を」
「これより」
「後ろからな」
 まさにそこからというのだ。
「攻めるぞ」
「わかりました」
「それではですね」
「ここからはですね」
「一気に攻めて」
「倒しますか」
「織田信長を」
「我等は闇の者」
 老人はこのことをだ、その闇の中で強く言った。
「それならばな」
「後ろからですな」
「攻めてそして勝つ」
「そうしますか」
「傀儡はこれまで以上に出せ」
 老人は他の者達にこうも言った。
「よいな」
「はい、我等もです」
「これまで以上に出します」
「そして数でも攻めます」
「そうします」
「そうする、いいな」
 こう言ってだ、そしてだった。
 魔界衆は自身の軍勢だけでなくならず者達にだ。さらに傀儡もこれまで以上に出してだ。そのうえでだった。
 織田家の軍勢を後ろから狙おうとしていた、だが。
 その動きjは既にだった、彼等が見ていた。
 飛騨者達は信長の命を受けて軍勢の後ろを見張っていた、彼等はその千里眼と言ってもいい目を使ってだった。
 周りを見ていた、そして夜の海にだった。
「おい」
「ああ、そうだね」
 大蛇がだ、拳の言葉に応えた。
「海の方にね」
「出たな」
「まずは一隻」 
 一隻の船が出た、だがだった。
 それはすぐにだ、一隻ではなくなりだった。
 二隻三隻と出てだ、さらにだった。
「まだ出て来るぞ」
「そうだね」
 大蛇は拳と共に海を見つつだ、彼の言葉に頷いた。
「どんどんね」
「出て来るな」
「煉獄達も呼ぼう」
「すぐにな」
 こうしてだった、飛騨者達は海岸に集まった。そこにだった。
 さらにだ、船は多くなっていてだ。
 その船達を見てだ、煉獄も言った。
「おい、間違いないな」
「そうだな」
 からくりもだ、煉獄に強い声で応えた。
「魔界衆だ」
「上様が言う通りに来たな」
「後ろからな」
「それもでやんすよ」
 今度は煙が言った。
「相当な数でやんす」
「何隻いるのかな」
 鞠はその太い首を傾げさせている。
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