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戦国異伝
第二百四十三話 信長の読みその八

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「大軍を率いてな」
「ではそれがしも」
「うむ、御主もいるとな」
 織田家、そして天下の次の主の信忠も共にというのだ、信長はそのことも踏まえてそのうえで彼にも言うのだった。
「尚よい」
「それなら余計にですな」
「敵は来る、誘き出して倒すぞ」
「さすれば」
 こうしたことを話してだ、そしてだった。
 信長はすぐにだ、諸将を集めてこう告げた。
「この城に五万の兵を置き主力は大坂に戻すぞ」
「大坂にですか」
「そうされるのですか」
「そうじゃ、留守役は竹千代に任せる」 
 このこともだ、信長は話した。
「よいな」
「畏まりました」
 家康は信長の言葉に確かな声で答えた。
「それでは」
「頼んだぞ」
「城の守りは万全にしておりますので」
「さすればな」
「さて、ではですな」
 今度は長政が信長に言って来た。
「これより」
「うむ、行くぞ」
「大坂に」
「ではな」
 こう言ってだ、そしてだった。
 信長はすぐにだった、主な戦力をだった。
 率いてそうしてだった、大坂に戻った。その軍勢を率いつつだった、信長は姫路城の方を振り返りそしてその天守を見て言った。
「さて、次にあの城に戻る時はじゃ」
「勝った時」
「次の戦にですな」
「そうじゃ」
 こう信玄と謙信にも答えた。
「その時じゃ」
「まさにですか」
「その時ですな」
「しかし皆わしのこの動きに驚かぬな」
「はい、上様のお考えならです」
「間違いありませぬから」
 だからだとだ、二人は信長に微笑んで答えた。
「ですから」
「誰も騒ぎはしませんでした」
「上様のお考えなら」
「大丈夫です」
「では大坂に戻り」
「そして、ですか」
「うむ、勝つぞ」
 戦にとだ、言うのだった。
 そうしたことを話してだった、そうしてだった。
 信長はここでだ、こう言ったのだった。
「既に屋島で流れを作った」
「魔界衆との戦の」
「それを」
「では、ですな」
「これより」
「戦じゃ」
 それはまさにはじまったとだ、信長は言った。
「奴等は必ずわしを狙って来る」
「上様の御首を狙い」
「それで、ですな」
「姫路にも兵は置いたがだ」
 しかしというのだ。
「まずそこに行くことはない」
「あくまで上様ですな」
「他は狙わない」
「一切」
「わしを倒して一気に天下を乱すつもりじゃ」
 そう考えているが為にというのだ。
「だからな」
「上様を狙い」
「兵を出してくる」
「そうですな」
「それが奴等の考えですな」
「大坂城はほぼ空じゃがな」
 安土以上とさえ言われている天下の堅城だ、その巨大さからして恐ろしいまでであり天守は黄金に輝いてさえいる。
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