巻ノ三十 昌幸の智略その六
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三人は姿を消して次の敵の場所に向かった。その頃山では。
猿飛がまさに猿の動きでだ、木々のあいだを凄まじい速さで動き回り。
山の中を進む徳川家の足軽達を襲っていた、木の上から木の葉に気を入れた手裏剣を無数に投げてだった。
次々に倒していた、その猿飛の攻撃を受けてだった。
徳川の足軽達は驚いてだ、口々に言った。
「な、何じゃこいつは!」
「木の葉を手裏剣にして来るぞ」
「しかも動きが速い」
「猿か、こいつは」
「そうよ、わしは猿よ」
猿飛は木の上から足軽達に言った。
「その猿が今ここにおるのじゃ」
「真田の忍の様じゃが」
「これは強い」
「何とかせねば」
「こ奴を何とかせねば」
「何とか出来るならしてみよ」
こうも言った猿飛だった。
「わしはそう簡単には倒せぬぞ」
「くっ・・・・・・」
徳川の足軽達は歯噛みするしかなかった、そして。
別の場所ではだ、山の木陰からだ。
次から次に来る弾に貫かれてだ。進めなくなてちた。
「姿が見えぬ」
「しかし音がすれば絶対にやられる」
「まさに百発百中」
「誰じゃ、これは」
「どういった者じゃ」
「ははは、これがわしの鉄砲じゃ」
穴山は木陰と木陰の間を進みながら言った。
「狙いは外さぬし姿も見せぬぞ」
「何という奴じゃ」
「真田の者か」
「真田にはこの様な者もおるか」
「何という厄介な奴がおるのじゃ」
穴山にもだ、足止めを受けていたのだった。
由利もだ、やはり山の中で鎖鎌を縦横に使ってだった。
敵を倒していた、その分銅と鎌を使って。
急所を打ちそして斬る、鎌で首筋や額を斬られてだった。
徳川の兵達は倒れていた、由利は倒れた者達を見つつ生き残っている者達にその鎖鎌を手にしつつ言った。
「ここは通れぬぞ」
「このような鎖鎌の使い手がおるとは」
「これ程の者は見たことがない」
「恐ろしいまでに強い奴じゃ」
「これでは近寄れぬ」
「そうであろう、通さぬぞ」
実際にというのだ。
「ここはな」
「おのれ、何としても通るぞ」
「この山を我等の手中に収める」
「絶対にな」
何とか山を抑えようとしてもだ、この三人に防がれ。
そしてだ、裏から入った者達は。
伊佐がだった、その手に持っている錫杖でだった。
敵の頭を叩き割っていた、大柄な身体からは想像も出来ないまでの素早い動きでそうしていた。そして。
徳川の兵達にだ、こう言った。
「ここは通しません」
「何じゃこの坊主は」
「あまりにも強いぞ」
「陣笠も兜も普通に叩き割り」
「そして倒すとは」
「何じゃこいつは」
「何者なのじゃ」
伊佐のその強さにだ、彼等も進めなかった。そして。
遂にだった、徳川の兵達は山を抑えることを諦め
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