第十一幕その五
[8]前話 [2]次話
「だからよ」
「そうなんだね」
「だからそれから今までね」
「ずっと行っていなかったんだね」
「この道に足を入れること自体がね」
そもそもというのです。
「なかったのよ」
「そういうことなんだね」
「けれどね」
「うん、今からだね」
「行くわ、私も」
アンはもう決めていました、それが言葉にも出ています。
「これからね」
「僕達に何かあった時の為に」
「若し不愉快なことになろうとしたら」
「私が止めるから」
絶対にというのです。
「任せてね」
「うん、それじゃあね」
「そういうことでね」
また言ったアンでした。
「行きましょう」
「それじゃあね」
「そうしましょう」
こうお話してでした、そのうえで。
一行は冒険を適度に休みながら続けました、そして。
前からクルマー達が来ました、クルマー達は両手両足の車輪で煉瓦の道を進んでいます。その彼等のお顔を見れば。
にこにことしています、アンは彼等のそのお顔を見てすぐに彼等に尋ねました。
「いいことがあったの?」
「うん、とてもね」
「楽しい思いをしたよ」
「貴方達薔薇の国から来たのよね」
アンはクルマー達にこうも尋ねました。
「そうよね」
「そうだよ、あの国でね」
「凄く楽しかったからね」
「今僕達はこうしてオズの国を楽しく旅してるけれど」
「あの国でもね」
「楽しかったよ」
「あの国でなの」
怪訝な顔になって言うアンでした。
「楽しい思いしたの」
「そうだけれど」
「何かあったのかな」
「あんな不愉快な国ないわよ」
アンはクルマー達にも言うのでした。
「それこそね」
「いやいや、違うよ」
「もうそこのことはね」
「悪い人達じゃなかったよ」
「行ってもね」
「特に不快な気持ちはしなかったし」
「結構よくもてなしてもらったよ」
「私の言った通りでしょ」
トロットはここでアンに言いました。
「もうあの国もね」
「よくなったのね」
「確かに貴女が行った時はそうだったけれど」
「今は違うの」
「どんな国も変わるわ」
そうだというのです。
「それにあの国だってオズの国だから」
「私達と同じ国だから」
「そんなことはないわ」
「今はなのね」
「だからね」
「今は安心して行けばいいのね」
「気持ちはわかるけれどね」
アンが不愉快な気持ちになったそのことはというのです。トロットにしてもそのことを味わったので言うのです。
「それでもね」
「今回は安心して」
「行きましょう」
「それに僕もいるよ」
モジャボロは微笑んで名乗り出ました。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ