第十一幕その一
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第十一幕 薔薇の蜂蜜
お昼御飯を食べた後で、です。アンはトロットに黄金の林檎を沢山あげて彼女と一緒にバスケットボックスの中に入れてからです。
あらためてです、トロットに尋ねました。
「これから薔薇の国に行くのね」
「ええ、そうなの」
それでというのです。
「蜂蜜を貰うか」
「林檎と蜂蜜ね」
「カレーに入れるといいでしょ」
「最高の隠し味よ」
実際にと答えたアンでした。
「まさにね」
「そうでしょ、だからね」
「蜂蜜もなのね」
「貰いに行くわ」
「わかったわ、けれどね」
ここで微妙なお顔になって言うアンでした。
「あの国の人達はね」
「ええ、薔薇の人達でね」
「心が冷たいわよ」
「昔はそうだったわね」
「それはね」
首を傾げさせての言葉でした。
「そうだけれど」
「アンはあの国の人達は好きじゃないのね」
「そうなの」
その通りとです、アンはトロットに曇ったお顔で答えました。
「実はね」
「そうなのね」
「けれど確かに蜂蜜ならね」
「あの国の蜂蜜でしょ」
「オズの国ではね」
「だからあの国に行くの」
「モジャボロさんもおられるから」
アンはここでモジャボロを見て言いました。
「不愉快な思いをしないと思うけれど」
「モジャボロさんのお人柄とラブ=マグネットのお陰でね」
「モジャボロさんを嫌いになる人はいないから」
だからというのです。
「あの人達も貴女達を嫌いにはならないけれど」
「それでもなのね」
「私一回あの国に行ったけれど」
「その時になのね」
「あまりいい気持ちにならなかったから」
アンも一度あの国に行ったことがあるというのです。そしてその時に思ったことをトロットにお話するのです。
「それでね」
「私達にもなのね」
「行くのは止めないけれど」
「気をつけてっていうのね」
「不愉快な気持ちにならない様にね」
これがアンの言いたいことでした。
「この国からあの国まで一直線の道があるけれど」
「オズマが開いてくれたね」
「だからすぐにも行けるけれど」
それでもというのです。
「この国からあの国に行く人いないわよ」
「貴女と同じ感情を抱いているから」
「ええ、まさにその通りよ」
「そこは変わらないのね」
「変わる筈がないわよ」
それこそという返事でした。
「向こうからも来る人はいないし」
「道は開けたのに」
「道は開けても感情はそうはいかないわ」
アンはその薔薇の国の方を見てトロットに答えました。
「私達あの国の人達のこと好きじゃないから」
「行かないのね」
「一人もね。行くのは旅の人達よ」
「私達みたいな」
「その人達にはいつもこう言ってるの」
その言っ
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