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人魂料理
3部分:第三章

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第三章

 それを実際に揚げる。そこでも暴れずそのままだった。
 そうして出来たのは細い尻尾のついた丸い天麩羅だった。衣は奇麗な狐色だ。
 それを皿の上に乗せてかぶりつく。すると。
「おっ、これは案外」
「いけるな」
「ああ、美味いな」
「そうだな」
 皆箸を突き刺して食べてから言うのだった。
「味はコロッケだな」
「そんな感じだな」
「けれど食感は」
「蒟蒻か?」
「それに似てるよな」
 食べてみてだ。そんな感じだったのだ。
 味はまさにコロッケで食感は蒟蒻だった。美味いものだったのだ。
「何かどんどんいけるな」
「ああ、油っこくないしな」
「しつこくないし」
「奥まですぐに火が通っていてな」
「醤油にも合う」
「いいよ、これ」
 皆こう言ってどんどん食べていく。しまいには天麩羅だけでなく刺身にもしてみた。するとこれもであった。
「美味い美味い」
「これもいいな」
「ああ、生でもいいんだな」
「何だ?生だと」
 その場合はだ。どうかというのだった。
「馬刺みたいな味だな」
「ああ、鬣のところだよな」
「で、食感は蒟蒻のまま」
「いいな」
「美味いよ」
 こう話しながら刺身も堪能するのだった。
 気付けば人魂達を全て食べてしまっていた。誰もが満足している。
「満足満足」
「満腹だよ」
「いやあ、漫画でも美味そうだったけれどな」
「実際に食ってみるとな」
「本当に美味いな」
「だよな」
 それぞれ言うのだった。秀の家のテーブルに座ってだ。
 それで最後のお茶を飲む。ここでだった。
 ふとだ。秀が言うのだった。
「ところでな」
「ああ」
「どうしたんだ?」
「これ食ったらこれで終わりかね」
 ここでこんなことを言うのであった。
「何か漫画じゃその後何かあったっぽいけれどな」
「あれっ、そうだったか?」
「何かあったか?」
「何かそんな気がするんだよな」
 こう話すのだった。
「食えることはわかったけれどな。それでもな」
「何かあるか?」
「それで」
「だから何かあっただろ」
 また言う彼だった。
「何だったかな、一体」
「腹壊すとかか?」
「そういったのか?」
「毒あるとかな」
「おいおい、それ洒落にならねえよ」
 一人が仲間の話に突っ込みを入れた。
「河豚とかみたいにかよ」
「そういえば河豚も美味いよな」
「人魂も美味かったしな」
「じゃあ若しかして」
「俺達これから毒でか」
 秀達は不安に覆われだした。そしてだった。

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