三
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本が亡くなった日に、関西の方で大学病院の火事があった事、ご存知ですよね?」
「ええ、出火原因が不明とかで、未解決の…」
「そうです。それがどうやら悪魔の仕業ではないかという説が浮上しましてねぇ。
もしそうならよく仕組まれた事件ですし、上級もしくはそれ以上の悪魔の可能性が高いんですよ。
それで私が向かう事に。」
「それを僕に伝えたという事は、理事長の留守中に何か起きる可能性があるという事でしょうか。
火事を起こした悪魔とこの学園と、一体どんな関わりがあると?」
「いやはや、奥村先生は相変わらず頭の回転が早くていらっしゃる。」
メフィストは額に手を当てて、さすがだ!と感嘆のポーズをとる。
いつになく(いや、いつも通りかもしれない)テンションの高いメフィストに呆れながらも、雪男は沸々と沸き上がる苛立ちを抑え込んだ。
「まだ確かではないので、お教えする事は出来ませんよ。
また分かり次第ご連絡させていただくので、今日のところはお仕事に戻ってもらって結構です。」
メフィストはそう言い終えると、食べかけだったさくら餅をそのまま口にパクリと入れてしまった。
結構な大きさのそれを一口で。
そしてそれをじっくりと味わいながら、用が済んだのでさっさと出て行け、と言わんばかりに雪男に向かってシッシと手を振る。
それにまた雪男はカチンときて文句を言おうともしたのだが、部屋の時計を見れば時刻はもう午後十一時を回ってかなり経っていた。
仕事もまだ大量に残っている。
こんな所で時間を食っている場合ではないと冷静に判断した雪男は、
「失礼します。」
と丁寧に頭を下げ、少し乱暴に鍵穴に鍵を突っ込んで自室へと戻ってしまった。
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