第3話「ペットのネーミングは飼い主のセンスが表れる」
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あちこち配線が張りめぐられた薄暗いトンネルの川を、お椀がどんぶらこどんぶらこと流れる。
オイルの川をせっせと漕いで先に進むのは、『一寸法師』こと万事屋一行と双葉。
「今どのへんアルか」
珍しく疲労の色がにじみ出てる神楽がツマヨウジで漕ぎながら言う。
「口から入ったから多分胃のあたりかな」
同じく新八も隣で漕ぎながら疲労混じりの声で答える。
「つーか機械に胃なんてあるの?」
「知らないです」
「そもそもさ、俺達どこに向かってんの」
「知らないです」
「俺達なにすりゃいいんだよ」
「知らないです」
「俺達どうやって明日生きてくんだよ」
「知らないです」
銀時のやけくそな質問にそっけなく返す新八。
しかし、リーダーが苛立っているのも無理はなかった。
オイルはやたらズッシリしていて重い。普通の川より力を入れて漕がなければならないから余計疲れる。おまけに鼻を突く油の独特な匂いは、逃げ出したくなるような臭さだ。
辺りも先もろくに見えない酷い空気が充満してる空間に放置されれば、誰だって気が立つだろう。
しかし、銀時を苛立たせている原因はもう一つあった。
「知らねーじゃねーだろ!!どーすんだオイいきなりウィルス倒せとか一寸法師にされて機械の口にほうり込まれてよォ。俺達ウィルスの倒し方もウィルスがどこにいるのかもなーんも知らねーんだぜ」
「僕にあたらないで下さい。全部源外さんのせいです」
しびれを切らした銀時の怒声がトンネル内に響くが、新八はやはり素っ気なく返事をするだけ。こういうのをいちいち相手にしてても仕方ないと、よくわかっているのだ。
だが相手にされなくったって、銀時は文句を吐き続ける。
「いきなりドラえもんみたいな道具出して人を地獄に叩き落としやがってよォ!こんなツマヨウジで何ができんだよ!こんなモン歯に挟まったイカ取るぐらいしか使えねェだろ!!」
「はいはいグチはそこまでにしましょ。たまさん救うにはこれしか方法ないんですから」
ツマヨウジをガリガリ噛む銀時をなだめる新八ではあったが、彼の言い分ももっともだと思った。
ウィルスに感染しドット絵化したたまを救うためとはいえ、何をどうすればいいのか肝心なところは何も聞かされていない。源外の無責任さにも困ったものである。
「ハァ……オイルって漕ぐの異様に疲れるアル」
そろそろ限界なのか、神楽が溜息混じりな声をもらす。それには新八も頷いた。
「そうだね。……銀さん交代してくんないですか」
「ふざけんな。さっき代わったばっかだろ。おめーら若ェ奴は普段持て余してる力を今使いやがれ」
半ば予想してたとはいえ、こんな状況でも怠ける銀時に新八は呆れた。
「おいピザ女。サボってないでお前も漕げヨ」
ムスッとした目で神楽
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