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【銀桜】9.たまクエ篇
第3話「ペットのネーミングは飼い主のセンスが表れる」
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ま銀時は源外から渡されたツマヨウジを腰から抜いて、飛びかかって来た獏ウィルスを突き刺した。すると獏ウィルスは身体ごと膨れ上がり、風船のように破裂してしまった。
 『獏』は情報を食らい続け成長するウィルス。
 だが逆に言えば、どんな情報も吸収してしまうスポンジのようなもの。そこに食中毒を引き起こす腐った情報(たべもの)を送れば全身を毒づけにできる。
 このツマヨウジは毒に侵された胃袋にさらに毒を送り続け、獏ウィルスを破裂(パンク)させる武器なのである。
「上等じゃねーか。食べカスはとれねーが、チンカスウィルスとれるツマヨウジってか」
 源外特製の武器を振り回しながら、銀時は迫りくる獏ウィルスたちを一掃していく。面白いくらいに獏ウィルスたちは一瞬で粉々に散っていった。
 しかし、それ以上に敵の数はどんどん増え続ける。いくら瞬殺できる武器でも、圧倒的に数が多ければ全てはさばき切れない。塊になって襲われたらひとたまりもない。
「天人、退路を開け。一旦退くぞ」
「ピザ女が指図すんじゃねぇヨ!」
 双葉に反発しながらも、神楽は出口の獏ウィルスたちを蹴散らして逃げ道を作る。新八と銀時は敵を倒しながら走った。続いて双葉も犬を片手に抱えて出口へ向かう。
 だが、敵が獲物を黙って見過ごすはずがない。
【逃がすと思うか!ここで貴様らは朽ち果てるのだ】
 鈍重そうな肥満体の偽白血球王が軽々と宙へ飛び、そのまま双葉めがけて落下する。
 しかし目の前の敵に気を取られていたために、彼女は頭上の危機に気づかなかった。
「双葉!!」
 兄の叫びでやっと見上げるがもう遅い。偽白血球王は目前に迫っていた。
――しまった……!
“ガウッ”
【うぎゃあ!】
 突然、偽白血球王は悲鳴を上げて地面に倒れた。
 双葉の腕から飛び出した犬が噛みついたからだ。弱々しく震えていた姿からは想像できないほどの疾風ぶりだった。
「シロ!?」
【違います。彼は犬ではありません。『ラーの鏡』よ、真実を照らし出せ】
 思わず目を見開く双葉の隣で、『たま』は偽白血球王に噛みつく白い犬に鏡を向ける。
【我を護りし比類なき勇者に再び剣を――】
 鏡の眩い光に包まれた犬は別の姿へと形を変えて大爆発を起こし、偽白血球王と王室の獏ウィルスたち全てを消し飛ばした。
 そして爆風が吹き荒れる煙の中から、人の姿が浮かび上がる。
 汚れなき純白のマントを羽織り、どんな敵も貫く白銀の剣を携え、輝く銀の髪をなびかせる人影。
「誰だ?」
 双葉を始め、銀時たちも怪訝そうにその姿に注目する。
【ご紹介します。彼こそが数多のウィルスを討ち滅ぼし、私の体内を護り続けてきた最強のセキリュティプログラム。正真正銘本物の――『白血球王』です】
 荒れ果てた王座に降臨するは、果たすべき使命を抱いた青年
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