第3話「ペットのネーミングは飼い主のセンスが表れる」
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に、図太い血管を額に浮かべて銀時は玉座の王まで駆け上った。
「オイぃぃぃぃぃぃ!コレのどこが最強なんだよ!!なんでドラゴンの後ろで王子らしき野郎が泣いてんだァ!!コレ完全に王子が拾ってきた捨て犬だろーが!!」
【待て待て。アレを見るんだアレを】
「あん?」
王が指差すのは、いつの間にか白犬の前に立つ双葉だった。
「ひざまずけ。手を差し出せ。シロ」
白犬に命令を下す眼こそ冷徹だが、その頬はほんのり赤い。潤んだ円らな瞳に可愛いモノ好きの心は打ち抜かれたらしい。
「ちょっと双葉さんもう手懐けようとしてるよ!それって『おすわり』と『お手』のつもりィ!?『シロ』ってまんま過ぎだろ。ベタ過ぎてネーミングセンスの欠片もねェよ!!」
新八の嵐のようなツッコミが炸裂するが、聞こえないのか双葉は白犬に次々と芸を教え続けている。どうやら可愛いモノに夢中になり過ぎて周りが見えなくなっているようだ。
白犬の前足を掴んでじゃれる双葉の姿を満足そうに眺めて王は言った。
【勇者はドラゴンを選んだか。どうやら旅立ちの門出は整ったようだな】
「ボロ雑巾犬連れて旅立つ勇者がどこにいんだよ!?」
勝手に冒険の書を進めようとする王の胸倉を掴んで、銀時はジリジリ詰め寄った。
【ふ、不満と申すか。ならば魔神デスピガロも連れて行くがよい】
「あんなの魔神じゃなくてヨボヨボ老人だろがァァ!」
【いや違う違う。お母さっ…デスピガロはさきの戦いで力を使い果たしてヨボヨボになっているだけだ。復活の呪文唱えればまた使えるぞ】
「使い捨て俺らによこそうとしたのかァァ」
「しかも今デスピガロをお母さんって言いかけたよ。王様お母さんの面倒見るの嫌で勇者パーティに身売りしようとしたよ」
「とんでもない奴ネ。ウィルスよりタチが悪いアル。まずコイツから駆除した方がイイネ」
銀時に次いで新八と神楽の痛々しい視線が突き刺さり、王はブンブン首を横に振った。
【待って待って待って!そーいうんじゃない!!全然誤解!!全く誤解!!確かに最近お母さんの世話ごとで悩んだり、たけしが汚ねェ雑種犬拾ってきて喧嘩しましたよ。でもそれとこれとは全然違うんですよ】
「違わねーだろ。思いっ切りリンクチャージしてんだろーが」
【じゃせめてあの汚ねェ犬もらってください。ほら、妹さんあんなに可愛がってるじゃないっすか】
「冗談じゃねーよ。ウチのゴミ袋はデカ犬のフンでもうパンパンなんだよ」
【そこを何とかお願いしますって。……ったく王様ならパーと華やかな暮らしできると思ったのによ、なった途端家庭も人生もパーになっちまいやがった。いやもう王様マジしんどいっすわ〜。家族の裏事情抱えるお父さんの辛さ、旦那ならわかってくれやすよね〜】
ズルズルと愚痴る王からは威厳も何もなく、そこらの飲んだくれオヤジと変わらな
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