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【銀桜】9.たまクエ篇
第3話「ペットのネーミングは飼い主のセンスが表れる」
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タイツで、全然王様に見えない。
 気品なんてかけらもない王は、厳しい顔で話を続けた。
【旅の人よ。この国には古くから言い伝えがあるのだ。
『この地に大いなる災いふりかかし時 女王の舞い災厄を揺るがし 
 異界よりツマヨウジたずさえし勇者 この地を救わん』……と】
「えぇ?それってもしかして僕たちのこと?」
 期待の眼差しを注いでくる王につられて、源外から貰った木製針を見ながら新八は呟いた。
 そういえば源外も、言伝を頼んだ兵士も、似たようなことを言っていた。
 言い伝え通りなら、世界ことたまを救うには自分達がツマヨウジで戦えばいいという事だ。
 しかしこの予言にはまだ一つ謎が残っている。
「じゃあ『女王』って誰だ?」
「はいはいはい!きっと『かぶき町の女王』の私に間違いないアル」
「おめーは盆踊りしかできねェだろーが。んなモンでどうやって世界救うんだよ」
「そこはオカリナ吹いて奇跡を起こすアル」
 わかったわかった、と元気よく手を挙げてきた神楽を銀時は軽くあしらってから王に向き直る。
「まぁ『予言』とかまどろっこしい前置きはいいから、さっさと敗残兵全部よこせ」
「あと宝物庫の宝も全てピザ代にまわし回復アイテムとして献上しろ」
「勇者どころかまるで盗賊なんですけど、この兄妹」
 呆れる新八だが、王はなぜか身勝手な要求を前向きに受け取った。
【なんと共に戦ってくれると申すか。やはり、そなた達こそ伝説の勇者・一寸法師!……しかし我が国は戦で疲弊し軍を貸す余裕はない】
「そこの衛兵二人とお前がいるだろうが。来い、馬車馬のようにこき使ってやる」
「ちょっとやめてください銀さん!」
【フム。どうしてもと言うのなら、我が国が誇る最強の魔獣を一つ授けよう】
「え!?ホントですか」
【『武闘の魔神・デスピガロ』。『炎の魔獣・ドラゴン』】
 その名に期待をふくらませる新八。
 『魔神』、そして『竜』――どちらも伝説的な存在だ。その名の通り人智を遥かに超えたチカラを持ち、それは『神』に匹敵するとも言われている。
 ましてやRPGにおいて魔王(ラスボス)と互角に戦える最強の魔獣(モンスター)だ。
 そんな彼らは何よりも心強く、仲間にできるのはもう無敵になったも同然である。
【さぁ、どちららでも好きな方を連れて行くがよい】
 王は威風堂々と勇者たちに献上する。
 『ドラゴン』……と呼んだ雑種犬、『デスピガロ』……と称した老婆を。
「どっちもいらないんですけどォォ!!」
 心の底から絶叫する新八。
 登場したのはブルブル震えた小汚い白犬と、膝がガクガク揺れてる今にもぶっ倒れそうな老婆であった。おまけに柱の影から頭に金ピカの王冠をのせた少年が、涙を流してドラゴン(雑種犬)を見つめている。
 差し出された二体の魔獣(?)
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