第3話「ペットのネーミングは飼い主のセンスが表れる」
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残された力を全て言葉に代えると、全身白タイツの男は動かなくなった。
見開かれた瞳からはもう生気は感じられない。
双葉はそっと虚空より遥か先を見据える男の目蓋を閉じた。
亡者を弔うその仕草は、妙に思い詰めた様な暗さを含んでいた。やがて彼女は静かに立ち上がり言った。
「行くぞ」
と、ただ一言。
「ええ?何しに行くんですか」
困惑する新八に、双葉は冷淡な眼差しを向けて告げた。
「何って決まってるだろ。王に言伝を渡しにだ」
* * *
【ようこそ、『白血球王国』へ】
真顔で異邦の銀時達を迎えたのは、槍を持った全身白タイツの男。
『白血球王国』と刻まれたアーチ門の先にある『武器屋』『宿屋』『教会』。
ならびに街を行く武具を備えた全身白タイツの男たち。
たまの体内に広がるのは、まさにRPGの世界。
「何コレェ!?何でたまさんの中に全身タイツの国があるんですかァ!何なんですかこのウロウロしてる全身タイツの人たちィ!?」
【ご安心ください。彼等は私の手の者です】
騒がしい新八のツッコミに答えたのは、妙に落ち着ついた少女の声。
振り返ってみると、なんとそこにいたのはドット絵の『たま』だった。
「たまさん!?なんで、たまさんの中に『たま』さんが?」
【皆様をサポートするため、まだ無傷のシステム領域から即席の分身を作って来ました】
「身体がやられているのだろ。サポートに回って大丈夫なのか」
テクテクとその場で両足を交互に上下させる『たま』を見下ろして、難しい顔をしながら双葉が聞き返した。
【問題ありません。私のために皆さんが戦ってくれている時に、おめおめ寝てはいられませんので】
どこまでも人を気遣い、自分に厳しい『たま』。
彼女によれば、全身白タイツの男たちは対ウィルスプログラムの『白血球』だという。彼らは体内に侵入したウィルスを駆除して主のたまを護る『セキュリティシステム』なのだ。
しかしそのために国――巣を作っているとはいえ、傍目からしたらドラクエごっこをやってる様にしか見えない。本当に護ってくれているのか怪しいものだ。
【まずは白血球王に会い、協力を頼みましょう。彼の協力なしでは『獏』を倒すのは不可能です】
「それなら丁度いい。私も王に用があったところだ」
「そうだ。僕ら王様へ言伝を頼まれてましたもんね」
行き先が決まったところで、双葉と新八達はさっそく城に向かおうとしたが――
「兄者、どこへ行く?」
フラフラと何かに吸い寄せられる銀時を双葉が呼び止める。
「いや〜だって戦うとなりゃアレだろ。強い武器がいるだろ。だったらコレが欲しいだろ」
そう言って二本の指で作った輪を得意げに見せる銀時。
足の向く先は『カジノ』の看板が掲げられた派
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