第3話「ペットのネーミングは飼い主のセンスが表れる」
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は後ろの双葉に言う。
たまの体内に入って以降、双葉は瞳を閉じ腕を組んで座っている。喚いてばかりの兄と違って、身を沈めるようずっと黙しているのだ。
そんな何もしないでいる双葉に、神楽は交代を言いつける。
しかし興味がなければやらず、他人に命令されるのを一番嫌う彼女が当然やるわけもない。
「え?」
……と思いきや、双葉はすんなり場所を交代してツマヨウジで漕ぎ始めた。
従順すぎる彼女の行動に、銀時たちは顔を見合わせる。
「オメェ……やけにアクティブだな」
「別に」
銀時に返事をする顔は冷たく、普段と同じ無愛想さだ。しかし何だか様子が違う。
「悪ィモンでも食ったか?」
「なんだ。頼まれたことを引き受けてはいけないのか」
そう跳ね返されると、もう何も言えない。
下手なことして妹のやる気を削ってしまうのもあれなので、銀時は追及しないでおいた。
そうこうしている間に、お椀は岸に流れ着いた。
胃を通ったから小腸あたりだろうか、と新八は予想する。もっとも、機械にじん臓や肛門なんてあるか不明だが。
ただこのままここにいても仕方ないので、とりあえず先に進むことにした。
ふいに視界の片隅に何かが写る。
よく見れば、少し離れた場所に尻に矢が刺さった全身真っ白な男が倒れていた。
「人ォォォォォ!なんでェェェェェ!?なんでたまさんの体内に人がいるんだよ!!つーかなんで全身タイツ履いてんだよ!!」
「よくわからねーが地獄に仏だ。色々聞いてみよう」
ツッコミの絶叫を上げる新八をよそに、銀時は全身白タイツの男に近寄って肩を揺さぶってみる。
「あのォお休みのところ悪いんですが、ちょっとお伺いしたい事がありまして」
【………】
「こちらにお住まいの方ですか」
【………】
「僕ら社員旅行でここ初めて来たんですけど勝手がわからなくて」
【………】
「色々教えて欲しいんですけど」
【………】
「あのスイマセーン。ケツに矢刺さってますけど大丈夫ですか」
【ああ旅の人よ】
「おわ!?」
突然男の顔がぐるりとこっちを向いて、銀時はビクッと後ろに退がる。
【どうか死にゆく私の最期の頼みを聞いてもらいたい】
「『死にゆく』ってケツに矢刺さってるだけですけど」
【我が王に言伝(ことづて)を頼みたいのだ】
「王?……イヤだからケツに矢刺さってるだけだって」
口元をひきつらせる銀時に、全身白タイツの男は一方的に何かを話し始める。
それに気づいた新八達も駆け寄って耳を傾けた。
【残念ながらウィルス軍を前に我等『白血球軍』は壊滅。じきこの世界は奴等『獏』の手に落ちるでしょう。願わくば王だけでもここからお逃げいただきたい。そして――】
【古くから伝わる伝説の異界の戦士『一寸法師』をお探しください…と】
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