キャリバー-Happy temperature-
第九十八話
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事実もさることながら、それはまるで虐殺でもしているかのようで――トンキーが仲間の死を悼む鳴き声を響かせる。最初から直接《エクスキャリバー》を狙っていた俺たちは、まるで地上の《エクスキャリバー》入手クエストのことを聞いてはいなかったが、邪神と協力して邪神を狩るというクエストだったとは。
「ね……ねぇ! アレ!」
多かれ少なかれメンバーは皆、どこかこのクエストに異様な雰囲気を感じていると、リズがさらにその不確定要素に気づく。俺たちの進行上に巨大な影が現れたかと思えば、その影は巨大な女性に――女神のような風貌の女性に変わっていた。
「――待っていました。我が眷族と友情を育みし者たちよ」
「我が眷族……トンキーのことか?」
キリトが呟いた言葉にコクリと頷いた。そのNPCらしからぬ反応に一同が呆気に取られていると、その女神は粛々と語りだした。それを簡単にまとめると――
彼女の名は《湖の女王》ウルズ。トンキーたちの種族の邪神の主であり、地上を闊歩する巨大な邪神たちとは敵対関係にあるらしい。その地上の邪神――《霜の巨人族》が一大作戦を始め、トンキーたちを滅亡させてそのまま地上――央都アルンに攻め込むつもりらしい。
つまり、地上にいるプレイヤーは騙されて《霜の巨人族》の手助けをしているとのことで、クリア報酬も《エクスキャリバー》の偽物である《カリバーン》であるだろう、とウルズは語る。
「あなたたちには、あの《霜の巨人王》スリュムを倒していただきたいのです……」
央都アルンへの進行を止めるには、《エクスキャリバー》があるダンジョンのボス、《霜の巨人王》スリュムを倒す必要があり――俺たちが敗北すれば《霜の巨人族》は地上に侵攻し、邪神たちが地上でも暴れ出すとのことだった。
「おいおい……」
随分と事態が思ってみてもいなかったことに進んでおり、ついついそんなセリフが口から勝手に出てしまう。さらにウルズは言葉を続けようとしたが、突如としてその顔が苦悶の表情に歪んだ。
「どうした!?」
「ス、リュ……ム――」
そう言い残すとウルズは、またもや巨大な影となって消えてしまう。今までウルズがいた場所はもはや何も残っておらず――いや、代わりに。
『――羽虫めが』
――その『声』が。
「きゃぁぁぁ!」
「シリカ!?」
突如としてシリカたちが乗っていた飛竜に赤い雷が落ち、コントロールを失ってシリカたちが乗った飛竜は雲の向こうに消えていく。トンキーの上に乗っていた俺たちに、同じ考えが共有された。
すなわち、ウルズが語っていた敵――スリュムの攻撃だと。
「ッ! トンキー、避けて!」
空気がバチバチと鳴った音に反応し、リーファがトンキーに警告するが間
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