暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
キャリバー-Happy temperature-
第九十八話
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リトくん。このままじゃみんな、喋ってるだけで解散しちゃうよ?」

「そうですよお兄さん!」

 とりあえずリーファの言うことに同調するレコンに苦笑いしながら、キリトがげんなりとした顔をしているのに小さく笑う。我ながら器用な表情筋を持ったアバターだと思ったが、端から見たらただの変顔だったらしく、リーファから少し引いた顔をされた。

「……みんな、聞いてくれ!」

 遂に観念したキリトが声を出すと、店内に所狭しと歓談していたメンバーの動きが止まる。アスナにリズ、クライン、シリカや俺にキリトの旧SAOからのメンバー。リーファやレコン、それにSAO生還者のルクスに他の世界から来たシノンに、まだよく知らないレインといった、SAOが終わってから出会ったメンバー。そして最大勢力を誇る、ユウキを初めとしたスリーピング・ナイツのメンバーたち。

「今日はこんなに集まってくれてありがとう。お礼はいつか、精神的に」

 改めて見たメンバーの多さに一瞬気後れしたキリトだったが、すぐに持ち直して演説のようなものを続けていく。途中でクラインの『年明けに《霊刀カグヅチ》取りに行くの手伝えよてめー』などと言ったヤジが飛んだが、それにはまったく答えようとせず。

「あとはみんなの武器を最高の状態にしてくれた、レプラコーンのみんなに感謝して――」

 当事者として悪い気はしない謝礼を終えて。長々と続く言葉ではなく、キリトらしく一言で締め切った。

「――《エクスキャリバー》、取りに行こう!」

『おう!』


 ……《エクスキャリバー》が鎮座する、邪神たちが住まう都市《ヨツンヘイム》は、世界樹が誇る《央都アルン》の地下にある。その地に降り立つには、アルンの東西南北にある高難易度ダンジョンのいずれかをクリアする必要があり、よしんばたどり着けたとしても……太陽の届かないその大地は妖精の翼は力を失い、桁外れの力を持った邪神に一方的にやられるだけ。

 そして《エクスキャリバー》は、その上空に設えられたダンジョンに設置されており、通常ならば飛行出来ない以上入手は出来ない。優れたケットシーならば、ワイバーンを使うことで飛行は出来るだろうが、そんなことをすれば邪神たちの格好のエサになるだけだ。

 よって《ヨツンヘイム》という地は、向かうだけでも一筋縄でも行けず、たどり着けたとしても地獄と同義だった。しかも今は《エクスキャリバー》入手クエストによって、多数のプレイヤーがひしめき合っており、いつも以上に危険地帯となっている。

「俺がリーファなら、ここに交通料設けて商売するね」

 光る苔だけが照明の薄暗い階段を下りながら、キリトはそんなことを呟いていた。もちろん件の高難易度ダンジョンではなく、《ヨツンヘイム》上空に繋がる隠し通路のようなものだっ
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