キャリバー-Happy temperature-
第九十八話
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ったらしく、少しだけ嬉しそうにしたリズを伴って、俺たちも仲間たちが待つ店内へと向かっていく。ワイワイと騒いでいる音がこちらまで聞こえてくる。
「お疲れ様」
「ああ。気の利かない助手と店主の代わりに、おもてなしありがとう」
集合場所となっている店内に続くドアを開けると、みんなにお茶を振る舞っていたらしいアスナが出迎えてくれた。それに適当に返しながら、先にこちらに来たはずのレベルが馴染めているか、その姿を探してみる。
「ありゃ。随分もみくちゃにされてるわね」
レインの周りにいたのはユウキにシリカ、クラインにノリ。新たな友人にテンションの上がる組にもみくちゃにされており、飄々としたペースが見る陰もないが、元来明るい性格らしいレインならばすぐに馴染めるだろう。
「リズ」
結果的には下世話だったが、そんな様子を安心したように眺めていると。そちらのメンバーを、マイペースにお茶をすすりながら眺めていたシノンが、武器のチェックを早々と済ませながら歩いてきた。
「弓のオーダー、言った通りに出来てるわ。ありがとう」
「それぐらいならお安いご用よ?」
シノンからオーダーされた弓のカスタマイズは、精密射撃と射程距離に特化した――要するに、彼女があちらの世界で使っていた狙撃銃と、似たような武器にするためのカスタマイズだ。この世界の弓は魔法の存在もあって、あまり人気とは言えないのだが……
「でも、その……大丈夫?」
「欲を言うと、もうちょっと射程距離が欲しいところね」
……本人が気に入っているようなら何よりだろう。機動性のある種族が剣以上魔法以下の武器として使う、というセオリーとは真逆を行っているが、それも本人のプレイスタイル自体だ。
そのまま女子三人でかしましく話しだすリズにシノン、アスナから離れると、俺はある人物を見つけだす。やはりというべきか当然というべきか、妹とそのボーイフレンドとともに、部屋の隅っこでその真っ黒の人物は佇んでいた。
「キリト。準備は終わったし、早くみんなに号令かけたらどうだ?」
「え……俺がか?」
三人に簡単な挨拶をしながら近づいていき、キリトにそう促すと、当の本人はまるで想定外だったようにキョトンとしていた。
「だってお前、今回のパーティーリーダーだろ」
「うぐ……」
そもそも《エクスキャリバー》を扱えるのは、その武器やステータスからキリトぐらいのものであり、このパーティーを呼びかけたのもこの男だ。これから攻略する多少なりとも知っているのはキリトのため、もちろんこの大パーティーのリーダーはキリトが担っていた。
……本当ならこういうのはアスナの得意分野なのだが、ここは旦那の甲斐性の見せどころだろう。
「そうだよキ
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