キャリバー-Happy temperature-
第九十八話
[2/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
悲鳴をあげていたために。
「うぇ……ショ、ショウキの方にはないのかな?」
「……半分貰ってく」
レインの前に積まれていた武器の山から、半分と少しだけ自分の担当にしておく。レインからは『ありがと〜』などといった声が聞こえるが……今、レインの山から半分貰わなければ、恐らくこちらにも追加の山が来ていただろう。
「……よし」
気合いを入れ直して純白の片手剣を掴み、鈍った刃を研ぎ機で研ぎ澄ましていく。かつてキリトのためにリズが作った、《ダークリパルザー》を思わせるそれを懐かしく思いながら、手早く終わらせて次の得物へと移っていく。
「こっち終わりました!」
「オッケー、休んでといいわよタルケン。ありがと!」
「はっい!」
随分と裏返っているタルケンの声をBGMにしながら、俺は目の前に積まれた様々な武具のことを思う。剣、槍、坤、刀、弓、杖――どれ一つとして同じ物がないそれらと、それを作り出すレプラコーンというこの種族と。
「じゃあ僕、終わらせた分運びますね」
「よろしく〜」
――そして今は手元にない、新しく改造された日本刀《銀ノ月》のことを思う。レインの協力もあって改造したものだったが、店が忙しくてまだ満足に実戦で試してはいなかった。
つまりこの《エクスキャリバー》入手クエストは、俺としては、新たな日本刀《銀ノ月》を試す場であった。
「終わったよ!」
「こっちもだ」
レインとほぼ同時に担当していた分を終わらせ、店に持ち込まれたものは所定の位置へと置いていく。パーティーの仲間たちの物は、タルケンがそれぞれ持っていってくれている。
……つまり、あとは。
「……うん、上出来!」
リズが最後まで手間をかけていた武器――日本刀《銀ノ月》の手入れが終わり、ずっしりと重いそれを受け取った。様々なカスタマイズを施した結果、手入れをするにも手順とアイテムがいるようになってしまい……もはやこの刀を扱えるのは、この広いALOの中でもリズだけだろう。
漆黒に鈍く光る鞘をいつもの位置に持ってくると、日本刀《銀ノ月》を腰に差した。改造したにもかかわらず、以前とまるで変わらずしっくりとくる感覚は、流石はリズといったところか。
「よし、大丈夫だ」
「当然でしょ!」
「それなら私も、手伝ったかいがあったな。じゃあ《エクスキャリバー》入手、頑張ってね?」
最終調整を終えた日本刀《銀ノ月》を満足そうに持つ俺に、レインも笑顔を見せながら店を去ろうとする。しかし鼻高々となっていたリズが表情を変え、きょとんとした表情でレインに問いかけた。
「何言ってんの、あんたも行くのよ」
「え……えっ?」
リズの言葉は予想だにしていなかったらしく、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ