二十三話:新たな始まり
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アナはどことなく底知れなさを感じる。
何もスバルは危機意識というものが欠如しているわけではない。
寧ろ、敏感に危険に気付いたりもする。しかし、それでもなお自らを危険にさらす。
自分の危険を承知で危機に瀕した誰かを救い出そうとする。一言でいえば自己犠牲。
だが、ティアナは最近、それは思い違いなのではないのかと思い始めてきていた。
スバルは、頭は良いが良くも悪くも単純である。
ただ、自分の中での優先順位に従って動いているふしがある。
つまり、自らの危険の回避よりも、他人の危険の回避を優先している。
そんな思考を持っているようにティアナには感じられるのだ。
「ん? どうしたの、ティア。そんなに見つめて」
「何でもないわよ。そろそろ時間だから最後の確認でもしときなさい」
「了解!」
訝し気に視線を向けてくるティアナに気付き、首を傾げるスバル。
しかし、ティアナの方はこれ以上関係の名話をしても仕方がないと思い誤魔化す。
少しだけ疑問に思うものの、気にしないことにしたのかスバルは再び笑う。
そんな自らの武装の最終確認を始めたスバルにティアナは考え過ぎかと首を振る。
そう、考え過ぎなのだろう。顔は笑っていても、瞳の奥は笑っていないように感じるのは。
【お二人とも聞こえますかー。こちら試験官を務めます、リインフォースU空曹長です】
『はい、聞こえます!』
二人の気持ちが少し、試験からそれたところでそれを戻すかのようにモニターが映し出される。
慌てて敬礼の体制を取り、失礼のないようにする二人。
モニターに映っていたのは初めてではあるが今回の試験官を務めるツヴァイ。
彼女自身は人形サイズであるが、画面上では当然のようにアップされているので二人はその大きさには気づかない。
ただし、妙に幼い声をしているなとは思っているが。
【大丈夫みたいですね。それではお二人とも、ルールはきちんと頭に入っていますか?】
『問題ありません』
【はい、それでは今から魔導士ランクBの試験を行いたいと思います。準備はいいですか?】
『はいッ!』
威勢の良い声にツヴァイも自然と笑顔になり内心で二人が受かるように祈る。
そして、少しの緊張を含み微かに震える指先を動かしスタートシグナルを表出させる。
スバルとティアナはそれを見た瞬間に顔つきを変え、足先に力を籠める。
一つ、二つと、シグナルが表示されていき、一瞬の静寂の後に最後のシグナルが鳴らされる。
【それでは試験スタートです!】
「行くわよ、スバル!」
「オッケー、ティア!」
こうして、二人の若き魔導士の戦いは始まったのだった。
「いやー、始まったなぁ。どうやって試練を越えていくかが見
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