第7話 嘘
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ぉぉぉ」
御坂は帯電していた電気を開放して自分の腕を通してサソリへと容赦なく流し込んだ。
「うぐぐぐぐぐ」
最初は抵抗していたが、蒼い閃光がサソリの体をバチバチと照らし出していき、サソリはそのまま力尽きるようにぐったりと大人しくなった。
「はあはあ」
「お姉様……何も仕留めなくても」
「ご、ごめんつい」
そして時間も夕方へと傾き本日のレベルアッパーに関する意見はひとまず置いておくことにして本日は解散となった。
喫茶店から出ると白井は木山にお礼を言う。
「今日は忙しい中、ありがとうございました」
「いや、こちらこそ色々迷惑をかけてすまない」
と木山が言ったところ端にいる赤い髪をした少年がビリリと閃光を放出しながらたむろっていた。
「赤髪君は大丈夫か?」
「大丈夫じゃねえよ……まったく余計なことしやがって」
目をゴシゴシと擦る。さきほど御坂にやられた目が痛むらしい
木山はサソリのこういった強がりにも似た発言を少し懐かしく思い目を細めた。
「教鞭をふるっていた頃を思い出して楽しかったよ」
「教師をなさってたんですか?」
「昔……ね」
と何処か遠くを見つめるように言うと木山は踵を返すようにして帰路へと向かった。
サソリはさきほどの電撃攻めからかなり機嫌を損ねたらしく喫茶店の植木場で腰を下ろして舌打ちをかます。
「ごめん、ちょっとやり過ぎたわ」
「お前さ……オレが土遁使いだって解ってやったか?」
「え?どとん?」
「岩や砂を使う忍術だ。土遁は雷遁に弱えんだよ」
サソリは未だに電撃の余韻が残る身体から感覚を取り戻すように手と首を回している。
忍術の属性にはジャンケンのように相性があり、雷は落雷で地面を吹き飛ばせるので土遁にとっては雷遁に弱いことになる(所説あり)
「あれ?砂とか岩って電気に強いイメージがありますけど」
「そうですわね。電気ネズミの理論から云えばそうなりますわね」
注 某国民的モンスター育成ゲームのことです。
「どこの常識だよ。お前の雷がオレの術を無効化するんだよ。ああー、目も痛えし、踏んだり蹴ったりだ」
「そういえば佐天さん見せたい物って」
「あ!?えーと」
先ほどの話の一件からこの場でレベルアッパーを実は自分が持っているなんて話出せるはずがなく、佐天はその場をごまかすように
「ゴメーン!私用事あったんだ。また今度ね!!」
「はあ」
とその後ろで好敵手の気配を察知した御坂は全員に知らせることなく獲物を狩る獅子の如く前のめりに後ろ方向へと走り去っていった。
「あれ?御坂さんがいませんよ」
「おねーさまー」
「なんか攻撃体勢で後ろに行ったぞ」
サソリは立ち上がって外套についた埃を払うと
「じゃ、解散だな」
「ええ、少しは常識を身に着けてくださいよ」
「へいへい」
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