第7話 嘘
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ーが出てくると」
木山は左頬を少し歪ませながらアイスコーヒーを口に含んだ。
サソリは木山の挙動を観察していく。
まただ、これは嘘をついている時の反応だ。
病室で感じた違和感、レベルアッパーという単語に呼応する人体の反応。
サソリの中で確信したのは、目の前の女性の「レベルアッパーを知らないことが嘘」だということだ。
だが、知っているものを知らないと嘘をつくこと。
それは日常的には当たり前の動作。
日常会話や生活を円滑にするためには『知っているよ』というよりは『知らない』から教えてと言った方が会話の幅が広がる。
至極当たり前。
「ところでさ、さっき病室にいた時にサソリが言ってたのがあったわね」
「あ?」
「ほら、意識不明の人に対して『一つだけな』って心当たりがあるような感じで」
「言ったか?」
「言いましたわよ。記憶もおぼろですの?」
「ああ、あれかその女の話を聞いて一つだけ気になることがあるってところだな」
「私の話にか?」
「そうだ」
御坂と白井は互いに顔を見合わせて、首を傾げた。
サソリが「一つだけ」と言ったのは木山が入ってくる前だったような気がする。
そこで「いや、違う違う。木山さんが入って来るま!痛っ!!」
サソリが御坂の脇腹に肘鉄をかます。
このやろう!女の子の十八番の肘鉄を……
「何すん!?」
サソリは鋭い眼光で御坂を睨み付けた。「少し黙ってろ」とかなり怒っているような小声で言う。
あまりの剣幕に御坂は自主的に黙った。
「……えっと、あんたレベルアッパーっていうの知ってるだろ?」
「ん?どういうことかな」
「表情が少しだけ変わったからだ、あとその単語を聴いた時に表情が左右対称じゃなかった」
「ほう」
少しほくそ笑むとサソリを見る。
「心理学を専攻しているのかな……随分と詳しいな」
「まあ、いろいろだ」
「これでも科学者だからね。未知なるものへの探求は欠かさないものだよ。そのレベルアッパーも噂くらいなら手に入れていた」
「じゃあ、レベルアッパーを知っていたのに嘘をついたと?」
「別に嘘をついたわけではない。確証がないものは信じないようにしていてね。これで満足かな赤髪君は?」
「まあ、そうだろうな」
予想していた反応は得られたのかサソリは同意した。
サソリは中指でテーブルを叩く。これから発言することを頭の中で咀嚼しているようだった。
「……」
この御坂(バカ)のおかげで、余計なことを言いやがって。
なんとか辻褄を合わせたが……
嘘をつく奴にこちらの持っている情報を簡単に渡すわけにはいかない。
忍の世界でも情報というのは非常に重要な戦術となる。
情報があるのとないのとでは、戦況もいくらか変わってくる。
サソリは組織にいたときから、情報操作の重要性を知っていた。
た
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