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ハイスクールD×D 黒龍伝説 12
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少しずつサマエルの身体を引き裂いて、そいつはその姿を表す。身体は不定形で、こぼれ落ちた身体の一部が触れた地面が死ぬように色を失い、おぞましい魔力を纏った何か。そうとしか言えない。そいつはサマエルを飲み込み、龍に近い姿となる。

「なんだこれは!?ゲオルグ、どういうことだ!!」

「分からない!?こいつは一体なんなんだ!?」


曹操たちも想定外のことに混乱している。だが、オレやヴァーリは何かの正体に心当たりがある。

「まさか、匙なのか?」

「見るからに生きるしかばねだな。だが理性と知性を失っている分、能力が前面に押し出ているのか?一つ言えることは、放っておけば冥界は滅びる」

オレとヴァーリが話している間に曹操とゲオルグが取り込まれ、消滅した。移動するたびに体の一部がこぼれ落ち、どんどんと色を失っていく。

「あんな姿になってまで、自分を見失ってまで生きたいって匙の奴は思うかな?」

「さあな。オレは元士郎とは違う。だが、害獣にカテゴライズされるなら殺されることを望むはずだ。守りたかったもの、大切なものを自らの手で壊すぐらいなら、死を望むはずだ!!やるぞ、オレたちの手で眠らせてやるんだ」

「それしかないのか。オレ達に力がないばかりに!!」

握りしめた拳から血が流れる。オレ達にもっと力があればこんな結末じゃなかったはずなのに。オレ達の手で、匙の力の全てを消してやることしかできないなんて。

『相棒、だからこそだ。せめて、眠らせてやれねば奴の生きてきた意味を無に返すことになる』

「分かってるよ、ドライグ。この力さえ、あいつのおかげなんだ。あいつがオレにくれた力。その恩を今返す!!」

サマエルの毒を取り除く際に、匙が歴代の所有者達の怨念の部分に流してくれたおかげ怨念が消滅し使える様になったこの覇龍で、あいつを止める!!

「我、目覚めるは覇の理を神より奪いし二天龍なり。無限を嗤い、夢幻を憂う。我、赤き龍の覇王と成りて汝を紅蓮の煉獄に沈めよう?」
「我、目覚めるは覇の理に全てを奪われし二天龍なり。無限を妬み、夢幻を想う。我、白き龍の覇道を極め汝を無垢の極限へと誘おう?」

オレ達が準備を整える少し前から匙が移動を始めた。オレ達の後ろの街に向かって。まるでオレ達がいないかの様に無視して。それを阻止するために掴みかかる。そして、触れた途端激痛が走る。この痛みはつい先日にも感じた痛みだ。

「サマエルの毒を取り込んでるのか!?」

「どけ!!」

ヴァーリが特大の魔力弾を匙の足元に放ち、爆風で街から遠ざける。邪魔をされたことに怒ったのか匙がオレ達の方を初めて見た。そして咆哮と同時に全身から匙の代名詞とも言える夥しい数のラインが伸びてくる。

「絶対に触れるな!!サマエルの毒を流し込
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