私と先輩のハナシ
【長編2】部室探し
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そこから文芸部の部室を探すのには一苦労だった。
吹奏楽部なら音楽室、美術部なら美術室、といった決まった場所があるように、文芸部なら図書室だろうと高を括っていたのだ。
それが間違いだった。静かに本を本でいる人たちをいるものの、文芸部ではないようだった。
それに、この図書室には漫画がない。教科書ですら活字を読むと眠くなる私にとって、この空間にいては眠れと言われているようなものだ。
仕方なく職員室で聞いても、文芸部?と首を捻られてしまった。新しく赴任してきた先生に聞いてしまったのが悪かったのだろうが、自分の学校の部活ぐらい覚えていてほしい。
その先生が別の先生に聞こうと、大声を出すものだから、急に恥ずかしくなり、大丈夫です、と頭を下げ職員室を飛び出してしまった。
また、文芸部を探すときに聞いた話だが、文芸部はいわゆる幽霊部、と言われている部活らしい。
つまり、文芸部とは名ばかりで、私のように"とりあえず"何かに入っておこう、といった人たちが"とりあえず"籍を置いている、という状況らしい。
それでは部室など存在しないののだろうか。
なんとも寂しい部活だな、と考えていると、中庭からトランペットの高らかな音色が響いてきた。吹奏楽部が練習しているのだろう。
あんな音が出せたらどんなに気持ちいいものだろうか。そんなことを考えるも、カラオケで78.4点が最高得点の私には関係の無い話だ。
そんなとき、ある考えがふと頭をよぎった。
吹奏楽部が音楽室ではなく中庭で練習するのと同じように、文芸部が図書室で活動するとは限らないのではないか。
文芸部に適した場所。静かに本が読め、自分の時間を邪魔されない場所。
そうだ、旧校舎だ。
うちの学校には、現在使われている本校舎の他に、ほとんど物置と化しているらしい旧校舎が存在している。
部室としても使っている教室があってもおかしくないはずだ。
パズルが解けたような気持ちよさを感じつつ、私は旧校舎に向かった。
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