物語
【短編2】地球が何回まわったとき?
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た人物、場所、時の答えが本当に返ってくるのだ。
地球が何回回ったとき、なんてものは圧倒的な天文的知識が必要となるため、本当に正しかったのかはわからないが、
それすら答えるところに小学生の身としては尊敬の念、はたまた畏怖に近いものを感じていた。
それでも嘘を並べているのだろう、と考えるのは至極当然で、何人かがケンタ君の知りえない情報の問いかけをするのだが、見事に回答される。
意地っ張りのガキ大将が、俺が昨日風呂に入った時間は?と問い詰めた結果、
お母さんと入っていた、と言う情報まで開示され、みんなからからかわれるという墓穴を掘ったこともあった。
ある日、学校の帰り道から少し外れた商店街で買い食いをしているところを先生に見つかったことがあった。
その見つかった先生が厄介な相手で、説教を始めると軽く30分は越える煩い先生だった。
その日はこってりと絞られ、岐路に着くことになったのだが、その途中、悪知恵の働く友人が、そうだ!と口を開いた。
「ケイタ君にあの先生が次にいつ商店街に現れるのか聞いてみよう。その時だけは商店街に近づかなければいいんだよ」
確かにいい案に思った。しかし、いつもケイタ君に尋ねる内容は過去に起こったことしか聞いたことが無かったので、
未来に起こりうることを聞いても答えられるのだろうか、と疑問に思うところもあった。
次の日、ケイタ君は僕たちの問いかけにきちんと答えてくれた。
尋ねたちょうどその日の夕方に先生が商店街にいるという。
その日は漫画の発売日でもあったので商店街に寄りたかった。本当に現れるのだろうか、という疑惑もあったが、
ケイタ君が言ったことが外れたことは無かったのでその日はしぶしぶ家に帰った。
その次の日、隣のクラスの生徒で、夕方に商店街で先生に見つかって説教を受けたと言う噂が耳に入った。
ケイタ君はやはり正しかったのだ。
それから、学校から帰るときにはケイタ君に先生が現れるかを聞いて帰るのが日課になった。
問いかけたその日の夕方を答えるときもあれば、翌日と答えるときもあった。
そうして、先生が商店街を見回らない日を狙って友達と遊んで回ったのだった。
幾日か経ったある日、僕は母親に、学校帰りに買い物をしてくるよう頼まれた。
お手伝い、と言う名目もあるので、見つかってもいくらでも言い訳できるが、
前に一回見つかった事もあり、次は目をつけられそうな気がしていたのだ。
そこで、いつも通りにケイタ君に問いかけてみた。
「先生が次に商店街に現れるのは、何年?何月?何日?何時?何分?何秒?地球が何回回ったとき?」
ケイタ君は、少し首を捻って一言だけ、わからない、と答えた。
ケイタ君がわからないと答えたことは今まで一度もなかったのでそのときは驚いた。
これでは商店街で先生に会ってしまうかも
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