Chapter T:to the beginning
第03話:ネメアの獅子
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躍り出る人影が一つ。何を隠そう、シュライバーに退却を命じたラインハルトが獅子の前に躍り出ていた。
「私が相手をしよう。」
そして、まるで闘技場の様な空間の中心で、正面から対する二つの『黄金』。
明らかに先程よりも強大な敵の出現に空間そのものが震えるかのような獅子の咆哮の前ですら、まるで赤子に歩み寄るかのような気軽さで歩みを止めないラインハルト。
そのラインハルトに対し、初速からトップスピードで真っ正面から襲いかかる獅子。
ここに、『黄金』vs『黄金』の決闘が始まった。
???
「おいおい、シュライバー。やっぱお前には荷が重かったみてぇだな」
「ア"?あんなん『創造』使えば楽勝でしょ。ボクはハイドリヒ卿の言う事に従っただけだよ」
「とか言いつつ実は闘いたくて仕方なかっただろうが」
「ベイ。ハイドリヒ卿が戦っておられるのだ。しっかり見ておけ」
「言われなくてもそうしますよ、っと」
「そうそう、ハイドリヒ卿の前では僕等の私情は挟まないようにしなきゃね」
窪地の淵から中の決闘場を覗き込むようにして、エレオノーレ、シュライバー、ベイ、ルサルカ、リザの五人は死闘を繰り広げる二つの『黄金』を見る。
片や高速で動きまわり、その鋭利な爪で、牙で、そして鋼鉄の様な尾で攻撃を繰り出す『黄金の獅子』。
片やまるでこの状況を愉しむかのように獰猛な笑みを浮かべて素手で獅子の攻撃を捌く『黄金の獣』。
その二つが衝突するたびに発生する衝撃波が窪地の外へ拡散し、五人のSS服をはためかせる。
「あれは、遊んでおられるな。」
「ま、『形成』すらしてないんだから闘いどころか準備運動程度にしか思ってねぇだろうな。」
エレオノーレが言う通り、未だ『形成』を使っていないラインハルトは遊んでいるのだろう。だが、獅子の方はそうではない。全ての攻撃が獅子が持つ必殺であり、普通ならばレベル5の一級冒険者ですら一撃で真っ二つになってもおかしくはない程の攻撃なのだ。
ラインハルトが獅子の前を大きく弾き上げる。それによって獅子の腹が露出する。それに突き刺さるラインハルトの拳によって獅子が大きく仰け反る。だが、その耐久力はシュライバーの『形成』を前にして鉄壁を誇る程。ラインハルトがそれなりに力を込めた拳を受けて、すぐさま反撃に移る。その巨体を利用した体当たりを正面から受け止めたラインハルトが何と数メートルも押し込まれる。オッタルの全力の一撃すらその場から動かずに首で受け止めたラインハルトを数メートルも押し込む。これには見ていたベイやエレオノーレも思わず唸るしかない。果たして純粋な力押しでラインハルトを後退させることが出来る団員が何人いるのだろうか。純粋な耐久力とパワーならば大隊長とタメを張れ
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