Chapter T:to the beginning
第03話:ネメアの獅子
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って、必ず敵を上回るシュライバーのスピードは既に音速の域に到達している。更に、シュライバーは『形成』位階。バイクを使って直接獅子に攻撃を仕掛けている。
しかし、その速度のシュライバーの攻撃力で以てしても、『黄金の獅子』にはかすり傷程度のダメージしか与えられていなかった。
「おいおい、流石に洒落になんねーぞ...」
シュライバーの攻撃力を嫌というほど知っているベイが思わずそう呟いてしまうが、それは皆も同じこと。リザとルサルカは如何にも面倒くさそうなものを見つけたという目をしており、エレオノーレも先程までの準備運動程度の気持ちを切り替えたのか、ピリピリと肌を刺すような戦意が滲み出ていた。
更に、その戦意を感じ取ったのはそこにいたもの達だけでは無い。戦闘を行っていたシュライバー、そして『黄金の獅子』もそれを感じ取り、ラインハルト達に気づいた。
―――そして、『黄金の獣』と『黄金の獅子』の目が、確かに合った。
シュライバーの攻撃すら耐えていた獅子はシュライバーを無視してラインハルトへと敵意を向ける。それは最深部を守る階層主としての行動か、それとも同じ『黄金』としての同族嫌悪か。少なくともシュライバーからラインハルトへと敵意を移した『黄金の獅子』は―――数秒後にシュライバーによって吹き飛ばされていた。
絶対回避という特性を持つが故に耐久性は低いシュライバーはバイクでは無く素手で攻撃を行った為両腕が?げてしまっているが、シュライバーからしてみればそのような事はどうでもいい。
「おいおい、お前の相手はボクだろ?何無視してんのさ」
―――ボクが、敵に気にもされなかった?
ふざけるな。
―――それもハイドリヒ卿の前で?
これほどの侮辱があって堪るか。
―――しかもハイドリヒ卿に敵意を向ける?
そんな蛮行を許さない。許すわけが無い。
ボクは、ボクは――
「ボクはハイドリヒ卿の爪牙だぞ!!!!!」
シュライバーの戦意が膨張する。その巨大な殺気によって80層より上にいたモンスターたちが、79層より上まで避難してしまうほどの戦意を滾らせたシュライバーを、漸く獅子も明確な"敵"として認識する。
『創造』位階の詠唱を始めようとするシュライバー。
後ろ脚に力を集約し、シュライバーに飛び掛からんとする獅子。
そして両者が激突しようとしたその時―――
「下がれ、シュライバー」
決して声を張った訳では無い。だが、まるで天啓のようにその場にラインハルトの声が響き渡った。
そしてその声を聞き、半ば反射的にシュライバーはその神速で以てラインハルトの斜め後ろまで下がり、そして獅子もその様子を只眺めるのみだった。その獅子の前に
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