Chapter T:to the beginning
第03話:ネメアの獅子
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急ぐこともあるまい。」
との鶴の一声により悠々と彼らはシュライバーの元へ向かうのだった。
???
「おかしいわね、もう10分も経ってるのに戦闘音が消えないわ」
異変に気づいたのは、次第に戦闘音が大きくなり、彼らがそろそろシュライバーの元へ追いつくかという頃だった。リザが言う通り、戦闘音が未だに消えず、それどころか大きくなっている。つまり、この89層の階層主はシュライバー相手に10分も耐えているという事になるのだ。
「ハッ、あいつには荷が重かったかねぇ」
「いや。シュライバーに限ってそれは無いだろう。奴のスピードは必ず敵の上を行く。」
ベイが面白そうに言うが、エレオノーレはそれを一蹴する。シュライバーは基本的に被弾しない。必ず相手の上を行くシュライバーのスピードは敵の攻撃の速度すら上回る。一方的な虐殺権を持っていると言っても過言ではない、というのがエレオノーレの素直な評価だ。そして、シュライバーの攻撃力もまた大きい。流石に普段はエレオノーレの『創造』までの破壊力は無いが、それでも黒円卓の大隊長を任されるだけの攻撃力を持っている。
そもそも、攻撃力とは言ってみれば相手にエネルギーをぶつける行為と言いかえる事が出来る。『活動』位階では銃を使うが、『形成』と『創造』位階のシュライバーの場合は敵にバイク、もしくは素手での直接攻撃を始めるので、言ってみれば攻撃力と運動エネルギーは等価だ。そして、運動エネルギーというのは『質量×速度の二乗』の公式で表される。つまり、速度が速くなればなるほど攻撃力が爆発的に増加するのだ。
つまり、理論上幾らでも速くなるシュライバーに攻撃力の上限は存在しない。無論、敵の上を行くだけで普段はエレオノーレに攻撃力は及ばないが、それでもシュライバーが強いというのは黒円卓でも周知の事実なのだ。
シュライバーの攻撃力に耐えきる圧倒的耐久性を持つ敵の存在に、ベイとエレオノーレの警戒心が増していくなか、あくまでもラインハルトは自然体で悠然と歩いて行く。そんな彼らの前に、"それ"は現れた。
89階層の突き当り、両側にそびえ立つ崖が開け忽然と現れた広大な空間の中心に居座る、4メートルはあろうかという巨体は引き締まった屈強でしなやかな筋肉に覆われ、四本の足には鉄をも切り裂けそうな鋭利な爪を持ち、そして威圧感溢れる猛々しい金色の鬣を靡かせるそれを一言で表すと、まさしく『百獣の王』。89層の階層主にして90層以降を守護する『黄金の獅子』がそこにいた。
そして、その獅子の周りを高速で跳びまわるシュライバー。そもそも89層という最深部の手前を守護する階層主たる獅子はスピードも今までのモンスターたちとは一線を画すものを持っていた。それによ
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