2部分:第二章
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第二章
「大きいんだな、案外」
「そうね。大きいわね」
女房も彼のその言葉に応える。本当にありきたりな言葉だった。
そしてそのうえでだった。国男はだ。カンガルーに何を思ったかガンを飛ばした。冗談でそうしたのだ。
動物にガンを飛ばしても何にならないだろう、そう思ってのほんの悪戯だった。しかしだ。
カンガルーはだ。いきなりだった。
その彼にだ。パンチを飛ばしてみた。脅威の右ストレートが彼の頬を直撃した。
頬を打たれた彼は大きく後ろに吹き飛ばされてしまった。そのうえで倒れ込んでしまった。かなり効いた一撃だった。
何とかそこから立ち上がった彼にだ。動物園の人が言うのだった。
「カンガルーはボクシングしますから。注意して下さいね」
「おい、そんなこと早く言えよ。滅茶苦茶効いたぞ」
「悪戯とかしたら本当に危ないですから気をつけて下さいね」
「そんなのに子供触れさせるんじゃねえよ。大人が吹き飛ばされたんだぞ」
「ですから。注意して下さいと言ってるじゃないですか」
「殴られてからじゃ遅いんだよ」
こうだ。殴られてから言う彼だった。何はともあれだ。カンガルーという生き物は外見は可愛いがその実は非常に乱暴な生き物であることをだ。身を以てわかった彼だった。女房と子供達に笑われたうえで。彼にとっては非常に高くついてしまったガン飛ばしであった。
可愛い動物 完
2011・4・19
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