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逆さの砂時計
Side Story
無限不調和なカンタータ 7
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、わしづ……ッ!?」
 「伐った木ッ!」
 パッと顔を上げ、左手の甲を腰に当て。
 右手の人差し指を、怯むカールの鼻先にビシッと突き付ける。
 「一本も残さず、持ち運べる大きさに裁断しなさい。作業が終わるまでに私を説得できたら、帰郷の付き添いでも結婚でも全部受け入れてやるわよ。でも、あんたにその価値無しと判断したら村には帰さないし、結婚もしない。生きる時間の長さに拘らず、歌えなくなるまで森からは一歩も出さないから! 解った!?」
 「え……えぇ……!?」
 『お前、そんな声高に、口説いて欲しいと言わなくても……っ』
 「違う! 説得って言ってんでしょ、説得って!」
 おろおろと両手を上げ下げするカールの肩で、全身を小刻みに震わせるアオイデー。
 割りと本気で殺気を込めて睨んでるのに、笑ってんじゃないわよ!
 つくづく腹立たしいヤツ!
 「えー、と……うん。解った。木を切りながら、グリディナさんと一緒に帰りたいって説得すれば良いんだね。あ、で……でも、胸を鷲掴み……とかは、ちょっと……」
 「それは良いから。」
 鎖骨辺りをチラッと見て、直ぐに逸らした視線が逆に痛々しい。
 こんなんでよく子供がどうのと口走れたものね? 情けない!
 ……まぁ「カールの歌なり私の特性なりを継いだ子供」に揺らいだのは否定しないけど。
 自我を持つ前にあれこれ仕込めば私の頭痛止め第二号として期待できそうだし、私とカールの外見を合わせたら、悪魔寄りでも人間寄りでも、男女問わずかなりの美形になりそ……じゃないッ!
 「精々頑張ってみれば? 私は絶対頷かないつもりでいるけどねッ!」
 ふんっ! と横向く私の耳を打つのは、ムカつく小鳥の笑い声。
 それと
 「……はい」
 いつもより一段低く落ち着いた真剣なカールの声。
 思わず え? と振り向いた先で、至近距離のハチミツ玉に映る自分と目が合った。
 「貴女と長く共に在る為に、頑張らせてください。私も絶対退きませんから」
 口調とは裏腹に真っ赤な顔を寄せ、私の額に自身の額を軽くぶつける。
 それから、にこっと可愛らしく笑った。
 「大好きです。グリディナさん」
 「……あんた、ある意味アオイデーより鳥っぽいわね。初めて必要としてくれたから好きになったとか、まるで孵りたての雛が親を認識してるみたいだわ」
 「雛は親に求婚しませんよ?」
 「そういう違いは理解してるってワケ?」
 「勿論です。グリディナさんが親だったら、私は悲嘆して獣の餌になるか……人間世界で罪人として裁かれていたかも知れません」
 「は?」
 「いえ、なんでもないです」
 一歩下がったカールの両手が、私の両手をやんわり包んで……今度は口元まで持ち上げた。
 手と手の隙間に呼気が滑り込んで、熱い。
 「貴女と
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