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逆さの砂時計
Side Story
無限不調和なカンタータ 7
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 やっぱりかあぁああ!!

「私が一緒に行く前提で話してるから何かおかしいと思ったら! あんた、私が悪魔だってこと忘れてるんじゃないの!? 人間にとって有害な異種族を故郷に連れ込んでどうすんのよ!」
「あ。そこは深く考えてなかった」

 おぉいっ!

「でも、村の皆にはちゃんと恩を返したいし。僕自身が、グリディナさんとずっと一緒に居たいって思ったから」

 そりゃ、そうなれと企んでたのは私だけど。
 それは、あくまでも人形師と人形、師匠と弟子的な意味合いであって。
 たった一日や二日で、現実逃避から結婚願望までいくとか!
 いくらなんでも飛躍しすぎでしょ!? こいつの思考!
 そもそも!
 村に帰してもらえると思ってる辺り、どんだけ坊っちゃん脳なのよ!
 この世間知らずめ!

「やっぱり……僕じゃ、嫌?」

 小首を傾げるな、小首を!

「嫌とかダメとか、そういう問題じゃない! あんた、自分の為だけに私を人間の枠へ押し込めるつもり!?」
「そんなつもりは」
「じゃあ、どういうつもりなのよ! 仮にあんたと結婚したとして、私にはどんな利益があるっての? 言っとくけど、一緒に居るだけならこの森でも十分だし、村の皆への恩返しとやらに私は全然関係ない。私は今のあり方を変えたいだなんて微塵も考えてないし、悪魔としての自由を棄ててまで人間世界に混じるなんてまっぴらよ! それでも連れて行きたいって言うなら、私が納得できる理由と有益性を、この場できっちり提示して見せなさい!」
「僕との結婚で得られる、グリディナさんの利益?」
「そうよ……」

 ぴぴぴぴぴっ! ……って、なに笑ってんのよ、アオイデー!

『お前面白いな、グリディナ! 悪魔でも人間相手に照れたりするのか!』
「はあ!? 誰がっ」
『顔。真っ赤だぞ』
「っ!?」

 思わずカールから奪い返した手で、自分の顔を触って確認してしまった。
 頬が、バカみたいに熱い。

「く……っ!」

 アホか、私は!
 こんな行動を取ったら余計……

 ぴぴぴぴぴっ!

「ああもう! その笑い声、本っ当に腹立つ! 内臓を丁寧に部位分けして串焼きにしてやろうか!?」
『ここで虚勢を張ってやるな。嬉しいなら嬉しいと、素直に応えれば良い。悪魔が人間と(むつ)んだとて、魔王は咎めたりしないだろう?』
「魔王なんか、顔も声も影も知らないわよ! (むつ)むとか言うな! つーか、堕天したからって、曲がりなりにも特性や性質の拡散に反対してる女神が、異種族間の婚姻を推奨するな!!」
『いや、私自身は別に反対してないが?』
「言い訳は……っ !」

 ピーチクパーチクさえずる小鳥を黙らせようと、左手を伸ばした瞬間。
 私を見つめる
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