11話 機械仕掛けの大統領(プレジデント)
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指示を始めた。僕はそれに従う。
『いきなり出てきたって困りますよね?今は私はリーナではなくリーナの声をした別の何かと名乗っておきます。カリヒさんは下手に私がリーナだっていうと信用してくれませんからね。あ、右に曲がってください』
「よくわかっているね。君はリーナだ。でさあ、さっきからどうして右にしか曲がらないんだ?」
僕は関心の声を上げながら返答し、右に曲がる。
『ただUターンをしてほしいだけです。で、こっちは左に曲がってください』
「わかった。で、リーナ。何をさせたいのか応えてくれ。僕の性格を知っているのならば」
『ええ。カリヒさんは回りくどいのが苦手ですものね。目的地には武器庫があります。そこを左です』
「ああ」
彼女は本物のリーナだ。
僕は耳で取り入れた情報を保存する能力に欠けている点がある。
それを考慮してくれたのだろう。そんな気遣いが出来るのは彼女だけだ。
「リーナ」
僕はいきを吐き出すように呟く。
『どうしました?改まって』
「愛してる」
『やっと初めて、カリヒさんから愛の言葉を頂きました。嬉しいです』
彼女の声は今までに聞いたことが無いくらい高揚していた。
僕は自分でも涙ぐむ。
「僕は。君を失って気づいた。君には僕は無愛想過ぎた。もう少し情を持って接してあげればよかったって思っている。これは後悔であり罪悪感だ。本当にごめん」
『別に構いません。私はいつも誰かの代わりでしたから』
「やめてくれ。そんな言い草をされるんだったら責められるほうがマシだ」
僕は彼女の言葉を振り払う。
「泣きついてくれ。僕にもっと君の罪悪感を背負わせてくれ!いつも1人で抱え込んで…」
僕は歩みを止めた。頭と両肘を目の前にある扉につけて膝をついた。
『むしろ、カリヒさんの場合、この方が堪えますよね?だから敢えてやっています。これは罪ですよ』
「いいや。君が1人で抱えている事に僕は苦悩しているんだ。だから。楽になってくれ!僕を困らせないでくれ。僕はただ自己満足がしたいだけなんだ!」
『でも、やり方がわかりません。私はいつも背負うだけで、誰かに背負ってもらうことをしませんでしたから』
「どうして死んだんだよ!僕を置いて!」
ただ目の前に出てきた彼女を攻め立てた。何にも意味がない。何1つ意味が無いことを僕はしている。それは痛感するほど理解している。でも…彼女と話を続けたかった。
『ご、ごめんなさい』
「いいや。僕こそごめん。君は悪く無い。悪いのは全部僕だから。これが痛みの代償だってわかっている。僕に罪をくれ。リーナ。神の与えた罪は痛すぎる。僕には辛い。だからせめて…神に与えられた罪を、君が上書きしてくれ」
僕は抽象的に話す。考えがまとまらなかったといえばそうなのだが、彼女に募る同情などが一気に込み上
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