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第一章
禁じられたもの
ある国の話だ。その国はとにかく国家元首の権限が強い。民主国家であり普通選挙も施行されていれば複数の政党も存在している。言論の自由も存在している。それはこの時の軍人出身の大統領が国家元首の時代でも曲りなりにもそうであった。
しかしだ。とにかく国家元首である大統領の力が強いのだ。その権限たるや三権の上に立つまでであり他国からは独裁者を選挙で選んでいるだけではないのか、とまで指摘される程だ。
その軍人出身の大統領の中でだ。こんな人物がいた。
まず頭は奇麗に禿げている。横が残っているよくあるパターンのそれだ。そして眉が太い。軍人出身というだけあって背は高くしかも背筋もしっかりとしている。そうした非常に男性的な外見の持ち主だった。
その大統領が就任して国政にあたったが軍人出身ということもあり国民の人気は最悪だった。この国では実は軍人が嫌われてきたという歴史が存在していたのだ。
しかしここでの問題はそれではなかった。厄介なことはだ。
この大統領の外見だった。その禿頭に太い眉だ。あるコメディアンがいた。
彼もまた頭が奇麗に禿げていて輝いていた。髪の毛は側頭部と後頭部に残っている。しかし頭頂部は奇麗なものである。しかもだ。彼は眉まで太かった。即ちだ。
大統領に実によく似ていたのだ。それを受けてだ。
彼はだ。ある日所属事務所の社長にだ。こう告げられたのだ。
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