第51話 アンダー・アルカディア
[6/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。」
四天王の中で最も強く冷静で広い視野を持っていたファントム。
彼がいなくなってからの変化を見て、彼がどれだけ自分達にとって大きい存在だったのかをレヴィアタンはこの一年間で強く感じていた。
だからこそ、サイバーエルフの状態であっても共に来て欲しかった…頼りになる同僚として、そして自分が信頼する兄として。
「それじゃ戻ろう。君たちが守るべき、あの世界へ。」
エックスとファントムに導かれ、サイバー空間から出ようとした時、レヴィアタンはファーブニルに尋ねる。
「ねえ、ファーブニル。あんた随分珍しいことをしたわね?いくらルインが私達の母親だからって率先して力を貸そうとするなんて…熱でもあるわけ?」
失礼な問いにファーブニルは表情を歪める。
「馬鹿にすんじゃねえ、俺だってよ…反省してんだぜ」
「は、反省!?あんたが!?…あんた、電子頭脳が熱暴走起こしてんじゃないの?」
「っ!?ファーブニルが…反省を…」
「何と…」
レヴィアタンが冗談抜きで本気でファーブニルを心配し、ファーブニルのことを良く知る二人も心底驚いた。
「おめえは俺を何だと思ってんだよ?後、エックス様もファントムも驚き過ぎだろ……」
「ファーブニルよ、お主があの方に力添えをしようとした理由は何なのだ?」
冷静さを取り戻したファントムがファーブニルに尋ねる。
すると、ファーブニルは気まずそうに胸の辺りを手で擦ると理由を語った。
「数ヶ月前にエルピスって野郎がやらかした事件があったろ?そん時に俺は炎の神殿にやって来たエルピスを倒すよりもゼロとルインと戦うことを優先しちまった。」
「ファーブニル…それは私だってそうよ。世界よりもゼロとルインとの戦いを優先したもの」
「あん時の俺は正直、ベビーエルフやダークエルフの力なんて舐めてた。いくら世界を滅ぼしかけた力でもどうせ半分だから大したことねえ。エルピスの野郎もハルピュイアなら楽勝だろうし、いざとなりゃあ、俺達全員で掛かりゃあどうにでもなると思ってた。その結果があれだ。」
結果としてハルピュイアは一人でエルピスと対峙し、ベビーエルフとダークエルフの半分の力に敵わず敗北してエックスのボディは破壊されてしまった。
そしてエルピスを倒した後にルインはハルピュイアと共にいた自分達の前に現れ、破壊されてしまったエックスのボディのパーツをハルピュイアに渡した。
あの時の衝撃は凄まじかったが、その時のルインの泣き顔を見て口から出そうになった言葉が引っ込んでしまった。
「何でか分かんねえけどよ…あん時を思い出す度にこの辺が痛えんだ。ゼロに負けてボロボロになった時だってこんなに辛くなかったはずなのによ……もう、あいつの泣きっ面を見んのはごめんだ」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ