第二十一話 授業中その十一
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「そうでしょうか」
「じゃあものは試しよ」
高井先輩がここで仰います。
「さっきの子ナンパしてきなさい」
「そうそう、ドーナツでもどうかってね」
「そんなのできませんよ」
何でいつもこう言われるんでしょう。私はそんなこと苦手だっていうのに。しかもまたしても年下の子。代々年下の相手ばかりの我が家のいんねんですけれど。
「だから私はですね」
「できないのね」
「はい」
はっきりと応えるのは相手が先輩達、しかも三年の方々なので勇気がいりましたがそれでもはっきりと申し上げました、ここはしっかりと。
「私、ナンパなんてとても」
「やっぱりねえ」
「そうね」
先輩達は私の言葉を聞いて予想したような顔でそれぞれ仰います。何かもう完全に読んでいたって感じです。
「ちっちだとそうなるわよね」
「逆ナンなんてね」
「逆ナン!?」
今の高井先輩の御言葉は本当にわかりませんでした。それでついつい首を傾げてしまいました。
「何ですか、それって」
「女の子から仕掛けるナンパよ」
高井先輩はにこりと笑って仰いました。
「自分達からね」
「何か凄いことなんですけれど」
「そこがちっちの甘いところよ」
「そうそう」
佐野先輩まで仰ってきます。
「いい、ちっち。女の子はねえ」
「女の子は?」
「一に押して二に押して」
高井先輩の御言葉です。
「三四も押して五も押すのよ」
「五まで全部押してるんですけれど」
ここまで聞いた私の率直な感想です。
「何だか」
「その通りよ」
先輩はにこりと笑ってまた仰います。
「女の子から押すのよ」
「女の子は日様じゃない」
「はあ」
佐野先輩の御言葉にはぽかんとした返事になってしまいました。
「それはそうですけれど」
「だったら押すのよ、こっちからね」
「いい相手だったらアプローチ」
「普通男の子からなんじゃないんですか?」
私はこう考えていますけれど。違うのかもしれないです。少なくとも今は自信が少し、いえかなりなくなってきた感じになってしまっています。
「アプローチは」
「若しくはアプローチさせるのよ」
「向こうからね」
「男の子から、ですか」
段々悪女なお話になってきたような。どうなんでしょうか。
「そうよ、言わせるのよ」
「それも女の子の甲斐性よ」
御二人にとってはそれもまた甲斐性らしいです。私にとっては何かとんでもないお話に聞こえて仕方のないことなのですけれど。
それでもやっぱり。私は御二人のお話を聞き続けるのでした。
「女の子はね、やっぱり」
「とはいっても」
お話が少し変わってきました。何故か。
「ここで話すのはあれね」
「そうね」
丁度駅前のダイソーの前です。ここにはカラオケもあります。私はおぢば
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