第十幕その九
[8]前話 [2]次話
「そうさせてもらいたいよ」
「そうなのね、ただね」
「遠慮したいの?」
「お礼って言われても」
それでもというのです。
「あまりね」
「乗り気じゃないんだ、君は」
「何か悪いから」
「だからいいんだよ」
クォックスは恵梨香に笑顔を向けて言いました。
「遠慮はね」
「そこまで言ってくれるなら」
「そうでしょ」
トロットがその恵梨香に応えます。
「折角だからね」
「受けないとですね」
「かえって悪いわ」
「うん、だからね」
モジャボロも言います。
「ここは乗せていってもらおう」
「そうすべきですね」
「これからね」
「わかりました」
恵梨香も遂に頷きました、こうしてでした。
皆でクォックスの背中に乗せてもらってでした。そしてクォックスが飛び立つとまさに一瞬で、でした。
ウーガブーの国の前に来ました、恵梨香はクォックスの背中からそのウーガブーの国を見て言いました。
「本当に一瞬で」
「僕の言った通りだね」
「まるで木挽の馬さんに乗って来たみたい」
「いやいや、もっと速いよ」
「お空を飛んでいるから」
「ドラゴンの飛ぶ速さはね」
それこそというのです。
「風より速いから」
「そうなのね」
「そう、あそこからここに来るのも」
それこそというのです。
「一瞬なんだよ」
「貴方が言った通りに」
「ドラゴンは嘘を言わないよ」
このことはです、クォックスは胸を張って言いました。
「絶対にね」
「そう、絶対になの」
「だって誇り高い生きものだからね」
その誇り故にというのです。
「嘘は言わないんだ」
「ネイティブの人達と一緒ね」
「あの人達も誇り高いからね」
「だから嘘を言わないのね」
「それは僕達も同じだよ」
「ドラゴンさん達も」
「長く生きていて由緒正しいものがあるからね」
ドラゴンにはというのです。
「そして色々なことをしっていて強い力を持っている」
「そうした種族だから」
「ドラゴンは嘘を言わないんだ」
絶対にというのです。
「だから僕もだよ」
「嘘を言わないのね」
「そうなの、それとね」
「それと?」
「君達はここで降りるんだよね」
クォックスは恵梨香達にこのことを確認しました。
「そうだよね」
「ええ、そうよ」
「それじゃあね」
それならと言ったクォックスでした。
「ここでお別れだね」
「そうね、とりあえずはね」
「縁があったらまた会おう」
「ええ、そしてその時はね」
「また楽しい時間を過ごそうね」
「一緒にね」
にこりと笑ってです、恵梨香は自分にお顔を向けているクォックスとお話をしました。そしてなのでした。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ