第十幕その七
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「お礼はいいよ」
「そう言うんだ」
「だってこうした時はね」
「お互い様だっていうんだね」
「だからね」
それでというのです。
「別にいいよ」
「そうなんだ」
「うん、とにかくシトリンは探したからね」
「これを受け取ってだね」
「もうなくさないようにね」
「気をつけるよ、本当にね」
「ところでだけれど」
腹ペコタイガーがクォックス尋ねました。
「君はどうしてここにいるのかな」
「うん、旅をしていてね」
「お空を飛んでだね」
「そうなんだ、そうしてお空の旅を楽しんでいたんだ」
「オズの国のだね」
「そうしているんだ、それじゃあね」
今度はクォックスが腹ペコタイガーに尋ねました。
「君達のことも聞くよ」
「うん、僕達はね」
腹ペコタイガーは自分達の旅の目的と行く場所をお話しました、そのお話を聞いてです。
クォックスは頷いてです、こう言いました。
「成程ね、ウーガブーの国に行くんだ」
「そうなんだ」
「ここから歩いてだと遠いよ」
「それはもうわかってるよ」
「いやいや、歩いたら遠いけれど」
クォックスは腹ペコタイガーに言うのでした。
「飛べば、それも僕だったらね」
「ここからでもすぐに行けるっていうんだね」
「そうだよ」
まさにその通りという返事でした。
「それこそ瞬きする位だよ。それに実はね」
「実は?」
「ウーガブーの国から薔薇の国まで道が開けたから」
「あっ、オズマが道を開いたのよ」
トロットがここでこのことを思い出しました。
「そうすれば皆の行き来が楽になるからって言って」
「うん、だからその道を使えばね」
「ウーガブーの国から薔薇の国に行くことも」
「これまでよりずっと楽で安全だよ」
「そうよね」
「だからね」
それでというのです。
「ウーガブーの国に行ったら」
「そこでアン王女から林檎を貰って」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「薔薇の国で蜂蜜を貰う道はね」
「その道を使うんだね」
「ええ、そうするわ」
トロットははっきりした声でクォックスに答えました。
「有り難う、いいことを聞いたわ」
「それとね」
ここで、です。クォックスはあらためて言いました。
「さっき言ったけれど僕ならね」
「ここからウーガブーの国まであっという間によね」
「飛べるよ」
「お空を飛べるって有り難いわよね」
「さっきシトリンを探して見付けてくれたから」
だからというのです。
「お礼に送らせてもらうよ」
「ウーガブーの国まで?」
「ええ、これからね」
「送ってくれるの」
「僕はただ適当に旅をしているだけなんだ」
オズの国のお空をというのです。
「だからウーガブーの国に行ってもいいし」
「それでなの」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ