第3話
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
外野では紗江の勇姿に呆れながらも、内心感心を抱く者も少なからずいる。
本来なら影御雷とお近付きに成りたい者ばかりなのだが、状態が状態故に近付けない。
そんな中で出て来た猛者に感心と嫉妬の念が向けられつつあった。
影御雷「……、好きにしろ……。」
『??』
紗江「ではお言葉に甘えて♪」
鬼の形相で睨まれる紗江だが、そこは乱月流一門。
ごく普通の女子なら逃げ出す有り様だが、彼女はその程度は動じない。
そこで動じていては危ない橋は渡れないし、乱月一門の恥だ。
サラッと要件を言って本人からの許可を取り次第、ざわついた周りの人達をそっちのけに彼の隣に腰掛けた。
紗江「ところで、いい加減許したらどうですか?」
影御雷「あいつらをか?」
紗江「で無ければ誰を話題にすると?」
いっこうに表情を変えない影御雷に対し、紗江はというと道経達の事を話し出した。
影御雷本人としては、彼らの名を出されるのは非常に嫌だった。もとより、今朝聞いた愚行に腹の虫がおさまらないのだから、本人は不愉快で仕方ない。
影御雷「ここでヤツ等の名を出すな、非常に不愉快だ。」
紗江「ですが、“後輩の愚行を許すのも、先輩が成すべき技量たるもの。”っと以前言ったお方は誰でしたか?
それに、いつも問題ばかり起こす彼らを呆れながら庇って来たのはミヅチさんじゃありませんか?」
影御雷「……(くっ!悔しいが…言ってる事が正しいから言い返せん……)」
道経達の所業には今だ許せない影御雷はその事を話題に出されて不愉快な気分になるも、中学時代に紗江を含めた後輩達に唱えた自身の言葉を引き合いに出されて言い返す言葉が無くなった。それ以前に、学校で数少ない話し相手である為か、彼らが問題を起こす度に間に立って彼らを守って来た。紗江の言ってる事は正論である故、影御雷には反論の余地が無い。
付け加えて言うなら、実は影御雷は戦闘では負け無しを誇る強さを持つが、言い争いとなると紗江には勝った事が一度も無かった。現に今彼は、今も紗江に言い負かされてしまっている。
影御雷「……、考えてみよう……」
紗江「適切な判断ですね。」
影御雷「……(だがどうしたものかな……?それにはまずキッカケが欲しいがな……)」
ついに折れた影御雷は紗江の言葉に応じたが、とりあえず考慮だけはする事にした。
だが幼い頃から武士として育った彼にとって、簡単に人の愚行を許す事など許されない。キッカケを作れば造作もないが、それが無い以上はどうにもならない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一方……
万里「たく、女子風呂を覗いて先輩の乱月から制裁を受けるとは…
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ