第一話
[7/8]
[1]次 [9]前 最後 最初
ロ率も高いはずだ」
「なるほど、道理で博士が珍しく楽しそうに笑ってたわけだ。これは研究しないといけないね……! ユウト君、帰ったら一緒に研究会だよ!」
「えっ、今日はリンドウと付き合いがあるんだけど」
ぷくぅっと頬を膨らませたリッカさん。私より二歳上ということは18歳なんでしょうか。すごく仕事熱心な人なんですね。整備士のリッカさんが助力を求めるくらいユウト教官は神機について知識があるのでしょうか?
「あいつがああなったら相手にしないほうが吉だ。神機の調整もできたことだし、早速実戦に行こう」
「ちょっとユウト君! キミの神機の開発とメンテ、どうなっても知らないからね!」
「それはちょっとおかしい取引だぞ!? ああもう解った解った、帰ったらするから! これでいいだろ」
「最初からそう言えばいいんだよ」
ばいばーい、と手を振られ見送られながらエレベータに乗り込んだ教官は小さなため息をこぼした。
「教官はリッカさんと交際があるんですか?」
「よくリンドウに聞かれるけど、ないよ。あと教官じゃなくて先輩にしてくれないか? その呼ばれ方は慣れなくて」
「先輩、ですか。解りましたユウト先輩」
「そっちの方が親しくなれそうだろ? これからは基本ツーマンセルだからな」
「それもそうですね。隊員同士のコミュニケーションは大切だと聞きました」
「真面目だなぁサナは」
「ところで、今回私と先輩以外に同行する隊員はどちらにいらっしゃるんですか?」
脱ぎ捨てていたキグルミをぱんぱん叩きながら話していた先輩はふと私の方に振り向きました。不意に目を合わせられるとやはり心臓に悪いですね……。
私の苦労をよそに先輩はけろんとした顔で言いました。
「いないよ」
「……えっ、私と先輩だけですかっ?」
「そうだよ。だからツーマンセルだって言ったじゃん」
「そ、そうですけど……。でもそれは部隊って言えないのではないですか?」
「まぁ確かにな。ペアの方が正しいかも。だけど俺一人で一個師団くらいだから、それで部隊ってことなんじゃねぇの? リンドウの受け売りだけど」
先輩一人で一個師団ですか。さすがに大げさな表現とは思いますが、確かに先輩一人しか所属しない部隊が用意されているということは先輩の力量は極めて高く評価されていると取れますね。でも部隊なのに他の隊員を用意しないのは納得できない話ですが。
「よし、最初の頃と比べたらずいぶん緊張が解れたみたいだし、改めてよろしく」
「不束者ですがよろしくお願いします」
差し出された手に両手で握り返すと、思っていた以上に大きく、ゴツゴツした手でした。ところどころ不自然なところも硬い所もあって不思議な感触でしたが、先輩が手を引っ込めたのでそれ以上探ることはできませんでした。
[1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ