第一話
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ウ《・》トってば自己紹介すらろくにできないのー?」
おっ! 初めて名前を聞けました! というかキグルミとしてって何ですか。
当のキグルミ教官は『そういえばそうだった(・3・)』と書いたプラカード片手に頭を掻いてます。
『でもここで取っても大丈夫なのか?』
「この時間は誰も来やしないよ。それに私の前では極力姿見せてくれる約束でしょ?」
『このキグルミ、結構気に入ってるんだけどなぁ』
そうプラカードに書き込みながら『あ、すまん、後ろのチャック開けてくれない?』とリッカさんに背を向けて近づく。しょーがないなー、と嬉々としながらうなじあたりに埋もれていたチャックをビビッと下げた。
「ふふ、サナちゃん絶対驚くよ」
「え?」
にっと笑ったリッカさんは言うや否や、ファンシーラビットの首をすぽっと取り上げてしまいました。
そして謎に包まれていたキグルミの中身は──
「キグルミ見ても驚かなかった子だぞ。驚かないだろ」
──尖ったように逆立った黒髪を超イケメンでした。
「えぇぇ!?」
「普通に驚かれた!?」
「ほらねー? 私だって最初見たときびっくりしたもん」
ほらさっさと脱いで、と胴体の部分から教官を引っ張り出したリッカさんは腰に手を当てて自慢げに紹介しました。
「こちらがサナちゃんの教官になった、厳島ユウト君です」
「どうも」
「は、初めまして、高崎サナと申しますっ」
「うん、知ってるよ。……なぁリッカ、なんで微妙に目を逸らされるんだ? キグルミのときはむしろ凝視されたのに」
「さぁね? 鏡を見つめれば解ると思うよー?」
「もしかして変なものでも付いてんのか? 初対面でそれは最悪だろ」
慌ててゴシゴシ袖で頬を拭いますけど、何も付いてないのでご心配なく。どちらかと言うと目の毒になるものがあるんですけどねその顔……。
ようやく顔から視線を剥がせた私はユウト教官の全身を確認する。服は黒のフェンリル制服でファッションモデルですかと聞きたくなるほど手足が細長く、身長も私の頭のてっぺんがユウト教官の顎に当たるくらいです。制服に余計なものは付けておらず、びしっと決まっており佇まいが様になっています。
「リッカさんリッカさん、ユウト教官がキグルミを着てるのは女性陣に気遣って……?」
「あはは、それは無いよ。確かに八方美人のせいで女性に気苦労かけまくってるけど、そんな理由じゃないよ」
「それじゃあ何で……」
「そう焦るなサナ。話すべきときが来たら話すから。リッカ、俺の神機も準備できてるか?」
「もちろん」
教官の声にすぐ反応して手近にあった端末に素早く打ち込むと、教官のすぐそばに人の丈ほどあるもある巨大な幅広の両刃剣が降りてきまし
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