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私の教官は少し変わっています。
第一話
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隊、みたいなイメージを持っていたので堅苦しい雰囲気なのかなと思っていましたが、すれ違う人たちはその逆で朗らかな笑みを浮かべています。もちろん中には死地に向かうのか表情の硬い人もいますが、それでも最前線とは思えないくらい明るいです。

「これなら上手く馴染めそうですね」
「ほう、それは良かった」

 うわっ、とギリギリ声を押し止めて振り向きざまにビシッと敬礼する。
 大きな胸を強調するようなデザインとすらりと長い脚を際立たせるヒールという大人の色気むんむんの人がそこに立っていました。顔も驚くほど整っていて最低限の化粧しかしていないのに思わず凝視してしまうほどです。
 しかしその美貌には鋭さも兼ね備えており、一見して厳しい上官という印象を植え付けます。事実、この上官は神機使いの間で〈鬼教官〉と恐れられていると聞きました。

 目の前に立たれるだけでこの緊張感…! ここの規律にまだ慣れていない私が反射的に敬礼を取ってしまうほどの何かが上官から発せられています…!

「君は見た目相応、真面目なんだな。感心だ」
「ありがとうございます! 雨宮司令官!」

 私が思いっきり声を上ずらせながら返答すると、雨宮ツバキ司令官はふっと口元を和らげた。

「そう緊張するな。初日からその調子だと身が持たんぞ」
「は、はい!」
「早速だが、今日からお前が配属することになった第一部隊の隊長と教官を紹介する」

 非常にキビキビした物言いは威厳を漂わせます。すっと横に一歩ずれた司令官の後ろから現れたのはタバコを片手にした男性と──

「よう新入り。隊長の雨宮リンドウだ。んで、こっちが新入りの教官のキグルミだ」
『ヨロシク^^』

 ──プラカードを持ったファンシーなウサギを模ったキグルミだった。

 ……いや、冗談抜きのキグルミですよ!? 名前そのまんまですよ!? というか、司令官の前でそんなもの着てて大丈夫なんですか!? 服装に不自由はないですけどさすがにそれは無遠慮が過ぎると言いますかなんと言いますか……!?

 私の緊張を和らげるためのサプライズかと思ってツバキ司令官に顔を向けると、司令官は至って真面目な顔で雨宮隊長とキグルミさんを見ている。

 うそっ、これ冗談じゃないやつですかっ? なんか、そういうキャラなんですかキグルミさんは! 司令官公認の感じですか!

 あまりの奇想天外っぷりにむしろ何もリアクションを取れずに呆然と眺めていると、リンドウ隊長が感心したように肩をすくめる。

「キグルミを見ても一切動じないとは、やるな新入り。なかなか期待できそうじゃないか、なぁキグルミ」
『ふっ、まずは第一関門突破というところか……』

 普通に会話しちゃってますし……というかプラカードに書くの速すぎませんか? そ
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