第一部
宴会
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「ちょっと紫?結界はちゃんと貼ってあるんでしょうね?」
ここ博麗神社で度々行われる宴会。幻想郷の実力者が集まるこの宴会では万が一、人が来ないように人よけの結界を張ってある。
なのにこのザマである
「なぁー、なんで誰もいないんだ?」
「そうですね…確かに虫、またはゴミしかいませんね」
「ご主人がそう言うんだったらそうなんだよねー!ねぇ?さっちゃん!」
迷い込みの一家である
先に発言した幼き外見の子供
黒い着物に刃の刺さっていない柄を腰に二本差し誰かに遭遇したかった願望をこれ見よがしにため息に乗せている
次の発言は黒い衣類に身を包んだ背の高い女性である
さっちゃんと呼ばれた彼女から発せられた虫、またはゴミという発言
万が一に備えた外部から見えない結界に包んだこの宴会を見ての発言だろうか。いやそうなのだろう、彼女の目からはこの子供に手を出してみろ…ぶち殺すと言いたげな目を、している。
最後に発言したのはふわふわした印象のこれまた長身のさっちゃんと同じ衣類を着た女の子
戦いに身を置いていないものならファーストコンタクトでは、可愛らしい女の子で終わるだろうが違う
女の子から漏れている闘志、妖気。まさにこちらに気がついていながら発せられるオーラ、この子の状態にわかったことが二つある
一つは先頭の子供を守る護衛であること
もう一つは幻想郷を知らないことだ
この宴会に参加している
紅魔組
八雲一家
普通の魔法使い
あとは白玉楼の庭師と主人、鬼の萃香である
幻想郷のパワーバランスの一端を補うこの面子に対してあの姿勢
相当の先頭狂いなのか、はたまたこちらに気がついていないのだろうか
博麗の巫女である私はそう考察した
「ご主人様…いかがしましょうか」
「そうだね…じゃぁ、この幻想郷と呼ばれる土地の情報を探ってきたんだろ?その情報を僕に教えてもらおうか!」
その前にお賽銭いれておこっと!
子供の行動に私は歓喜した
なんてありがたい子供なのだ
あまりの嬉しさに結界を飛び出し挨拶や感謝の言葉をいいに行くつもりだったが紫に止められた
「なにするの紫!私はいかなくちゃならないのよ!」
「霊夢!よしなさい。まだ、実力のはっきりしていない得体の知れないものに姿を軽々しく見せてはいけないわ。幻想郷に迷い込んだ子供とその護衛。子供の方はただの人間みたいだけれども…後ろの二人は…かなりやるわよ」
紫の言いたいことはわかる。私はそんなことよりお賽銭の額を確認したい
賽銭箱にはいるあの、札束を数えたいのよ!
私の気持ちを知らない紫は宴会に参加している強者に一言
「今は、様子を見ましょう」
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