リベリオン・セイヴァ―外伝SHADOW 一話
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「す、すげぇ……!」
まるで、俺は風そのものだ。どこへでも行ける、本当の自由になれる。窮屈な生活から抜け出せることができるんだ! 今の彼には、これを現実だと受け止めている。
しかし、背に翼も生えていなければ、飛行できる機械を背負っているわけでもない。生身のまま自由に空を飛んでいるのだ。だが、今の玄弖にはそんな常識など考えてはいなかった。
「早く……もっと、早くだ!」
風が止むことなくそのままどこまでも飛んで行く……
しかし、そんな無我夢中の彼の耳元にある何者かの声がささやき始めた。
『玄弖……』
「!?」
何者かの声に玄弖は気付くと、彼は飛び続けることをやめてその場で止まった。上空で浮上しながら、その謎の声に耳を傾ける。
「誰だ……?」
『……玄弖』
その声に、玄弖は耳を傾けた。
「誰なんだ?」
『玄弖、我が主よ……』
「アンタは何者なんだ? 出てきてくれ?」
『俺に姿形はない。この空間そのものだ……適合者、八文字玄弖よ?』
「適合者? いったいどういうことなんだ!?」
玄弖は、やや焦った口調で問う。
『主となる者は、武器である俺を扱える唯一の人間だ……俺は、お前から強い適性を感じた。あの、忘れ去られた物達の墓場で、触れられた瞬間にお前しかいないと定めた』
「もしかして、お前……」
玄弖は、目を丸くさせる。もしや……この声の正体は!?
「……あの時のクナイか!?」
『気付いてくれたか? 俺は、あのケースの中に収められていた『RS(リベリオン・セイヴァ―』だ……』
「り、リベリオン・セイヴァ―? それは……何だ?」
『リベリオン・セイヴァー……それは、無限の成層圏を打ち破る神の剣。我々は、その刃となり、主と共に地と、空を駆ける』
――無限の成層圏? それって何だ?
玄弖は、クナイが言う「無限の成層圏」が気になる。おそらく、彼らと敵対する勢力のことを言っているのだろう……
『八文字玄弖よ、これより其方を我が『飛影』の主として登録する。共に、無限の成層圏を滅するために……』
「お、おい? いきなり何を言いだすんだ!?」
『頼む、もはやお前以外代わりの人間は居ないのだ……』
「だからって! どうして俺が!?」
『兎に角も、俺はお前を適合者として登録した。己が身を守るとき、必ず助けとなる力になる! それだけは、信じてくれ……?』
と、声は次第に薄れていく。
「ま、まて……!?」
「!?」
気が付くと、真夜中になっていた。外から聞こえる虫の鳴き声に俺はゆっくりと起き上がった。
「……夢、だったのか?」
そう、夢であった。しかし、夢とは思えないほど実感のある体験である。
――あのクナイ、「飛影」とか言ったな?
何やら特殊な武器だったようで、彼にはよくわからない。玄弖は、先ほどの夢が頭から離
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