リベリオン・セイヴァ―外伝SHADOW 一話
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くはなかった。
「……すまない、少し席をはずす」
そう言い残すと、箒は静かに館内を出た。
彼女は、外へ出てぶらぶらと街中をブラブラと歩いていた。上映時間が終わるまで外で散歩をしていようと思った。
――……一夏は、私のことに全然気付いてくれない!
自分だって、一夏のことが好きだ。しかし、一夏はやはり比奈のほうに目がいっている。確かに昔から箒は嫌われるような愛情表現を何度もしてきた。それに関しては認めざるを得ない。
しかし……
――やっぱり、私も一夏のことが好きなんだ……!
散歩を続けていくうちに、気が付くと彼女はある土手道を歩いていた。そこはショッピングモールから最も離れた場所で、隣の風景からは金網のフェンスと鉄板の壁が二重になって広がっていた。その先の世界は、自分がいる場所とは違う別世界だということを知った。
――エリア14……
彼女は、心の中で呟いた。
エリア14。そこは、日本の中で唯一治安の酷い危険区域である。その区域に住む人間と言ったら悪党しか思い浮かばず。ヤクザか野盗などといった連中が支配している場所だ。
「……」
嫌な目でその二重の囲いの塀を見ながら彼女は土手を歩き続けた。
土手を出ると、次に行きついたのはある裏路地である。そこには、その辺にうろついているチンピラのゴロツキ共がうようよしているから長居しないうちに早いところ出ようと思った……が。
「!?」
ふと、彼女の首元にかけていたガラス玉のペンダントが転がり落ちてしまった。
「しまった……!」
彼女から逃げるように転がるペンダントを追いかけるが、そんなペンダントが逃げ込んだ場所が、彼女からしてとんでもない場所であった。
「こ、これは……!?」
塀にあいた穴はエリア14へ通じる場所だった。そこへ、ペンダントが転がってしまったのだ。
――どうしよう……
ペンダントのことは諦めたほうが思った方がいいが……あのペンダントには彼女に取って特別な思い入れがあるものだった。
――母様がくれた大切なお守りなのに……
母が彼女に別れを告げる時に渡したお守りのペンダントだ。それは、一番大切な物である。
――少しぐらいなら!
彼女は、四つん這いになって穴を潜って、女性に取って禁断の地獄へと足を踏み入れてしまった。
見つけたらすぐにこの場から立ち去れば問題ない。そう思いながらも焦りと共にエリア14の片隅の草むらを手探りで探していた。
しかし、彼女の周囲が途端に暗くなった。いや、巨大な影が彼女を覆ったのだ。
「!?」
背後から漂う恐ろしい気配に箒は振り向いた。
「おやおや……こんな物騒なところに何とも可愛いお嬢ちゃんが居るじゃねぇかぁ?」
そこには、全身傷だらけの大男たちが箒を見下ろしていた。
「こーんなところに居ちゃ危ねぇぞ〜? 何てったって、ここには怖
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