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RSリベリオン・セイヴァ―
リベリオン・セイヴァ―外伝SHADOW 一話
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弾がこの世界にやってきたのかは不明だ。よほどのことがない限り、こんなろくでもない世界に来るはずがない。
しかし、俺はそれよりも落し物の方に気が散り、はやく外の世界、メガロポリスへ行くため家から飛び出していった。
IS学園のある場所はメガロポリスから離れた隣のエリア20に位置するとある人工島にあるらしい。
玄弖は、分厚い鉄板の塀を伝いながらある巨大な扉までたどり着いた。そこには数人の警備員がおり、彼らに許可書を見せた。一様、手続きなども済ませなくてはならないため少し時間がかかる。
玄弖は、門番前でしばらくたち続けていると、彼の背後から一人の老人の声が聞こえた。
「もし……そこの若人や?」
「……?」
振り返ると、そこには一人の老人が杖を突きながら俺に声をかけてきた。
「なんスか……?」
「『外』へ行かれるのですか?」
「ええ、まぁ……」
「ほうほう? 『池袋』か、『新宿』へ?」
「は……?」
何だそれはと、俺は首を傾げた。
「貴方達が、エリアと呼んでいる場所の旧名じゃよ?」
「そうなの?」
玄弖は聞いたこともない言葉に興味深い目をした。
「して……そちらは、どこへ行くんじゃ?」
「エリア20です……」
「エリア20……おうおう、神奈川かのぉ?」
「カナガワ?」
「若いの……ここも、かつては『浅草』という立派な名前がありましてな? ほれ……あそこに巨大な門の跡があるでしょ?」
老人は、俺の後ろへ指を向ける。振り向くと、そこには半壊した瓦屋根の……赤い? 門のような物体が崩れかけていた。時折見るものだが、今まで無関心だったからアレがいったい何なのか知る由もなかった。
「アレは、嘗てこの浅草のシンボルでしてな? 寺の山門なんじゃ……あそこに巨大な提灯をぶら下げていたんじゃが……白騎士事件の際、ここにもミサイルの流れ弾が『雷門』に直撃しましてな?」
「……」
俺は黙って老人の話を聞いた。
「……浅草の下町には、そりゃあ情深い人間が沢山すんでおりましての?」
老人の話を聞くにつれて、エリア14の意外な一面に触れて行く。
エリア14、そこは今まで悪党が多く居座るロクでもない街かと思っていたが、昔はとても有名な地域だったのだ。しかし、IS社会の到来でこの有様とは何とも嘆かわしい。
「おーい! 手続きが終わったぞ?」
門番が、上の管制塔から叫んできた。玄弖は手を上げて返事をすると、老人に別れを告げた。
「それじゃあ、行って来ます」
「道中、御気を付けて……」
そして、玄弖は開かれた扉から漏れる光へと向かった。




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