暁 〜小説投稿サイト〜
紅く染まった琥珀石
「火竜と猿と牛」
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繰り出される斧の攻撃を全てかわしたが、ナツはまたまた氷に滑り真剣白羽取りの要領で斧を掴んだ。

「ナツ!!」
「今行きます!!」

「タウロス戻りなさい! そうすればあの斧も消えるのよ!!」
ナツは斧を熱で溶かし、解けた液体を口の中に含んだ。

「刃を溶かした‥! 体の熱で‥!」
「食ったら力が湧いて来た‥」
そして口に含んだものをバルカンに向かって吹き出した。
「音魔法・剣刃の音!」
よろめいた所を狙い、音の刃がバルカンの体を切り裂いて行く。

「火竜の鉄拳!!」
ナツは最後に思い切り殴り飛ばし、バルカンは壁に激突した。

「やったー!」
「いたそーう」
「あーあ、このサルにマカオさんの居場所聞くんじゃなかったの?」
「少しやり過ぎましたね‥」
「あ、忘れてたぁ」

「完全に気絶しちゃってるわよ‥ってええ!!!」
すると突然バルカンが光だす。そこからはボロボロになったマカオの姿がそこにあった。

「なんだ!? マカオ!!」
「マカオ!! なるほどね‥」
コハクはマカオの姿を見るなり、考え込むように腕を組んだ。

「ええ!? この人が!? さっきまでエロザルでしたが!?」
「バルカンに接収(テイクオーバー)されてたんだ」
「接収?」
「体を乗っ取る魔法だよ。バルカンは人間を接収して生き繋ぐモンスターだったんだ」


そうして五人は怪我をしたマカオを治療し横たわらせた。
「接収される前に相当激しく戦ったみたいだね」
「マカオ! 死ぬんじゃねーぞ!! ロメオが待ってんだ、目開けろ!!」
ナツの声に反応しゆっくりと目を開けたマカオ。
「ナツ‥コハクも‥」
「マカオ!」
「目覚まして良かったです‥」

「情けねえ‥19匹は倒したんだ‥20匹目に接収されちまった‥ムカつくぜ‥」
一言ずつマカオは事の経緯を喋り始める。
「チクショウ‥これじゃロメオに会わす顔が‥」
「んな事ねーよ。そんだけ倒しちゃ上等だ!」
「沢山討伐しましたねー!」

「帰ろうぜ! ロメオのとこによ」
「ロメオ君お父さんの帰りを待ってますよ!」


こうしてマカオも無事見つかったのであった――。




場面は変わり、ロメオはじっと父親の帰宅を待っている。
魔導士の仕事をからかわれ、マカオに凄い仕事をしてきてと頼んだ事がロメオの脳裏に浮かぶ。

「ロメオー!!」
「ロメオ君、帰って来ましたよー!!」

ナツとコハクの声に誘われ前を見上げると、二人に支えられながら歩くマカオの姿が瞳に映った。
無事帰って来た事に安堵し涙がボロボロと零れ落ち、マカオに思い切り抱き付いた。
「父ちゃーん!!」
「心配かけたなァ‥すまねえ‥」
「良いんだ‥俺は魔導士の息子だから‥」


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