暁 〜小説投稿サイト〜
ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
一の刻・少年期編
第八話「来ない春とイタズラ妖精」
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んだ。

「さ、お使いの途中だろ、早く行きな」
「そうだった!ありがとね、お兄ちゃん!」

青年に背を向け駆け出すリュカ、その後をスラリン達が付いて行く。
ふと、スラリンが青年を振り向いてみると…

「まだまだ子供のリュカを頼むな、『スラリン、ピエール、リンクス』」

そう小さな声で呟いていた。

「あれ?何で僕達の名前を知ってたんだろ」
「ピイ?ピイピイ」
「ガウン」
「村の人達に聞いてたんじゃないかって?(でも何であんなに何もかもがリュカと同じだったのかな?)」

歩き続けていると宿屋の近くの民家の前で女性が何かを捜している感じでウロウロしていた。

「おばちゃん、どうしたの?」
「ああ、リュカくんかい。いえね、仕舞ってあったお菓子が無くなっていて代わりにゴールドが置いてあったんだよ。おじいさんが何時もみたいに摘み食いしたのかと思ったけど」

女性がそんな風に溜息を吐いていると家の奥から「ワシャ、摘み食いなどしておらぬと言うておるのに」とおじいさんの呟きが聞こえて来た。

「じゃあ、僕おつかいの途中だからもう行くね」
「じゃあね、リュカくん」

酒場は宿屋の地下にあり、リュカは挨拶をしながら入って来る。
魔物のスラリン達はこの村ではすっかり顔馴染みの為、今更怖がる面々は居らず他所の旅人が居ない店の中に入って来ても文句は出なかった。

「おや、リュカくんどうしたんだい?」
「お使いに来たんだ、酒場に下りるね」
「立派だな、リュカくんは。それに比べて、ブツブツ……」
「どうかしたの、おじさん?」
「ああ、誰か宿帳に落書きしている奴が居てね、昨日も誰も泊まっていない筈なのに宿帳の名簿に「ベラ」と書かれてるんだ。妙な事にゴールドまで置かれていてね。何だか気味が悪いよ」
「そうなの、何か変だね」

受付の親父に手を振り、リュカは酒場のある地下へと降りて行く。
まだ昼間の為、さすがに客は居らず酒場のマスターは準備に追われているのかあくせくと動き回っていた。

「マスター、お使いに来たよ。父さんのお酒をちょうだい」
「おお、いらっしゃいリュカくん。…それがね、どう言う訳かパパスさんに頼まれたお酒が見当たらないんだよ」
「え?父さんのお酒、無いの?」
「どうもこの所変な事ばかりあるんだ。グラスの位置が変っていたり、今みたいに何かが隠されていたり」

マスターは話しながら酒を探し続ける。
ふと、リュカが辺りを見回すとカウンターの上にちょこんと座っている女の子が居た。
ただ、その女の子は少し変っていた、耳が少し長く、そしてレヌール城の王様達みたいに半透明なのだ。

「ねえ、君は誰?」
《えっ?…あなた、私が見えるの?》
「うん、でも何だか透き通ってるみたい」
《やっと、や
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